toriten45

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qのtoriten45のレビュー・感想・評価

3.5
“社会現象”級の人気をよそに全く観ることなくやり過ごしてきてしまい、熱狂がおさまった随分後に鑑賞し始めることになりました。

『〜 序』、『〜 破』まではついていけましたが、3作目となるここからは訳がわからなくなってしまう…。地球の海は赤色に染まり、アスカは眼帯をしているし、ミサトさんは怖くなってしまうなど、いつものメンツがガラッと変わってしまい、あの心をフワッとさせてくれた同居生活や学園ドラマは完全に剥がされてしまった感じ。仲の良かった仲間たちから理由もわからないうちに突然切り離されてしまったような…。この説明のない徹底的な喪失感が新たな世界観を作り出していて、「ワケがわからないけどいい」になってしまっています。

シンジが14年もの長い眠りから目覚めるところから始まる本作。戸惑うシンジに共鳴しながら拠りどころにするものを持たずに暗闇を歩いている感じ。周りがつぶやく一言一言が14年間の出来事を解き明かすヒントになっているようで、それが飽きさせない工夫となって話が展開されていきます。

廃墟と化したNERF内のシーンは碇ゲンドウや渚カヲル、綾波レイたちが登場するけどシンジの心の中の不安定な精神世界を彷徨っているような雰囲気もあります。世の中を激変してしまった根本的な原因はゼーレの描いたシナリオなのか?それとも碇ゲンドウの異常な愛なのか?もしくはその両方なのか?その辺が明らかになると思っていましたが結局ワケわからなかったです。

未曽有の大災害「セカンドインパクト」「サードインパクト」。エヴァはロボットではなく人造人間。人類の敵「使徒」。この謎めいた世界観を背景に、人類存続の行方が委ねられてしまう少年少女で構成されたエヴァパイロットたちの物語が展開されるこのシリーズ。なんだかはっきり理解できていないのに好奇心が沸いて掘り下げてみたくなる。それがエヴァの魅力なんですね。ネットにある数々の解説、考察を合わせてみるのが楽しいです。

ラストとなる次作『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』への期待が膨らみます。
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