Yuri

プンサンケ/豊山犬のYuriのレビュー・感想・評価

プンサンケ/豊山犬(2011年製作の映画)
4.5
この構図を考えたキム・ギドクの弟子チョン・ジェホン監督凄いです。笑っちゃうんだけど鳥肌も立つっていうw(・0・)w 常に北と南を画面の両端に意識させられ、密室で両者が対峙する場面では、両者の国の銃をそれぞれ持たされたりして、南北で争うことのくだらなさを叩きつけられる感じ。それもこんな風にブラックユーモアを交えて見せられるなんて思わなかったから、凄いの一言です。プンサンケの出自や過去、どうして話さないのか?この仕事をしているのか?などは全く明かされないままなのに、ユン・ゲサンの雄たけびシーンでは、感情移入して泣きそうになっちゃいました。イノクは最初、緊迫した場面なのによく文句出てくるなと思いましたが、亡命してからは、イイ女ぶりで、北にいても南にいても誰も信用できない人生を歩んだ女性の頭の良さが垣間見られました。誰も信用が出来ない国で暮らすってどんなに心がささくれるのだろう。しかも、イノクには脱北しないという選択肢もあったのに、命懸けで脱北しても恋人にあんな風に扱われて、もう(涙)北も南も争っている現場の人間は何で争っているのかさえ理解していなくて、「帰らざる橋」には常に境界線の向こう側の大切な人の安否や平和を祈る短冊が無数にあって。なんで争っているのかわからなくなったのに、退けない意地の張り合いのくだらなさのオンパレードでした。疑問だったのは、プンサンケは韓国の政治関係者からの依頼だとわかった時点で何故断らなかったのだろう?南関係者の依頼で北に入ることの危険度は明らかなのに。そこだけ何故だろう?と思いました。南北融和がこのまま進んだなら、このような映画は悲劇として作られ続けるのだろうか?それとも、全くなかったことにされて、最初から仲良しでしたよという政府官僚の空恐ろしい顔を見なければならないのだろうか?このタイミングで「冷麺」も印象的過ぎたし、こんな犬も食わないような調子では、心から互いに和解が出来る日はまだまだ先にも見えないなと感じました。あと、オダギリジョーがカメオ過ぎて誰も気付けない(北朝鮮兵士として数秒出演)
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