イチロヲ

メリエスの素晴らしき映画魔術のイチロヲのレビュー・感想・評価

3.5
世界初のSFX映画「月世界旅行」(1902年度)で知られている、ジョルジュ・メリエス監督のドキュメンタリー作品。本作で描かれているのは、メリエスの栄枯盛衰であると同時に、「無声映画」の栄枯盛衰でもある。

人類未踏の地が多かった時代に、空想世界を映像化したことにより、商業的成功を実現。リアリティがフィクションを追い越して行くと、観客の好みも変化して、新しい刺激にしか目を向けなくなる。やむを得ないこととはいえ、切ない気分にさせられる。

後半に入ると、1993年に発見された彩色版「月世界旅行」の復元作業のドキュメンタリーに移る。劣化したフィルムを1コマずつ復元していく過程が詳しく説明されており、観ているこちらまで気が遠くなってくる。

余談だが、DVDに収録されている彩色版「月世界旅行」の本編には、フランスのエレクトロ・ユニット「AIR」の音楽が収録されている。音楽付きが嫌な人は、ボリュームをミュートに設定するべし。
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