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メリエスの素晴らしき映画魔術のchaooonのレビュー・感想・評価

4.0
世界初のSF映画『月世界旅行』のカラー版が発見され、最新鋭のデジタル技術による修復後2011年に公開された際のドキュメンタリー!

前半は、生みの親ジョルジュ・メリエスの全盛期の功績から晩年までの軌跡を、彼の作品を交えて語る。

『ヒューゴの不思議な発明』でも描かれていたけど、もともとはマジシャンのメリエスが映画という新しい"魔法"で、人々を驚かせ楽しませる♪撮影中のアクシデントから世界初のSFXを生み出し、当時の限られた技術の中で、マジックを起こす♪

中でも『ゴム頭の男』『音楽狂』のブラックなコミカルさ、『一人オーケストラ』オシャレさは好み♪

当時は風景や人々の営みを記録的に写すだけの映像に過ぎなかった映画を、劇的に進歩させた立役者!

タイトルが出なかったけど、女性がドレスを翻しながらクルクル踊る映像が、色彩豊かでとても幻想的だった♪あれもメリエスの作品なんだろうか?ちゃんと見てみたい!

『月世界旅行』の続編?パクリ?作品が後続したって話は始めて知り、面白かった!
セグンド・デ・チョモンをメモ!

時代の流れと共にメリエスのスタジオは衰退し、引退の際には自身のフィルム500作品を全て焼いてしまった"形を変えた自殺"は、切ない。(ヒューゴの方では戦争にのまれてフィルムは売却の末に靴の踵に作り変えられた、って表現が切ないけど好きだったが、ここは脚色だったのかな〜)

後半はスペインで偶然発見された『月世界旅行』カラー版の修復の過程から公開までの20年に及ぶドキュメンタリー。専門家のインタビューから実際の修復シーンまで、熱いドラマが込められている…!

これ系のドキュメンタリーで初めて泣いたかもしれない。。。
あまりにも気の遠くなるようなその作業工程…どれだけの時間と労力と優秀な人材、お金を費やしたのか…その作業工程の途方もない緻密さ!

使命感か、信念か、それとも執念か。
好奇心?探究心?
先人への敬愛なのか、映画芸術への愛なのか…!!
彼らの想い、心を突き動かすアツさに胸がいっぱいになってしまった…!!

「最新鋭のデジタル技術でリストア」
なんて、一言で実に簡単そうに聞こえちゃうけど、公開の裏には凄いドラマがありました。
こういう職人気質な人達がいるお陰で、古き良き芸術が日の目を見ることが出来るんだなぁと。

最終的に修復作業を担ったチームのモットーもアツイ!!

"困難なことは すぐやれ
不可能なことは少し時間を"

沁みます!今わたし自身に必要な言葉だったかも!
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