イチロヲ

11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たちのイチロヲのレビュー・感想・評価

3.0
日本の将来を憂える文豪・三島由紀夫と民族主義の学生グループが、警視庁の傀儡にされている自衛隊に不信感を募らせていく。1968年の「盾の会」発足から1970年の割腹事件までの流れを描いている、実録系ドラマ。

「日本国(=天皇陛下)を自衛するための隊」に信頼を置こうとする三島が、現実に打ちのめされていく。民兵組織「盾の会」の精神を如何にして周知させるか、という部分にドラマをもたせており、当時の記録フィルムが挟み込まれる。

筆者の知り合いに全共闘世代の御大がいるのだが、彼いわく「当時、三島は共産主義者を恐れており、複数名の警察官を私邸に呼んで、護衛してもらっていた」とのこと。割腹に関しては、三島のナルシシズムとマゾヒズムの終着点というのが個人的見解。

製作側のバイアスが掛かっているため、革命家側の種々相をオンタイムで描いてきた若松監督の作家性を楽しむ方向性が良策。余談だが、「盾の会」の盾を縦に置き換えて、さらに横にしたのが、「シベリア超特急」のファンの集い「横の会」である。
イチロヲ

イチロヲ