マクガフィン

恋の罪のマクガフィンのレビュー・感想・評価

恋の罪(2011年製作の映画)
3.5
猟奇的な殺人事件の真相を探る中で関わる3人の女性の物語。

事件そのものではなく、女の性・生きざま・愛を描写することで垣間見える女の奥底によこたわる本質に迫る女性目線中心な作品で、3人の女優が織り成す、女の光と影を体当たりな演技に見せられる。

これまでの作品通り登場人物は全員が正気の沙汰ではない狂気の一面がありのだが、それが相乗して熱量がある訳の分からない面白さに繋がる。

当初は自分探しを言い訳にした、甘美に堕ちながら精神が崩壊し狂っていく女の描写かと思っていたが、日本古来の女性戒律からの解放や表と裏の顔を使い分ける女性の業や性を描写し、性欲だけでなく愛を求めたい人間らしい一面は哲学的な深さがあることを何となく理解したのだが、監督の男の妄想や願望くる僅かな狂いが作品にも投影されていると感じ、女性作家も脚本に付け加えた方が良かったのでは。

しかし、その監督の迷いも作品にマッチしているような・・・。その辺の作品の理解が足りなく残念だが、所々のシーンでハッとすることがあり楽しめた。園子温監督作品で、女性描写はいつも男性描写よりも長く感じる。144分は少し長く120分以内に纏めてほしかった。