垂直落下式サミング

仮面ライダーW(ダブル) FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.5
仮面ライダーW(ダブル)の劇場版。
フォーゼくらいまでは日朝リアタイ視聴勢(劇場版を観に行くほどじゃない程度のファン)だったし、当時これを宇多丸がラジオで予想以上に褒めてたからよく覚えてる。
確かにバチクソに面白い。毎年シーズンが代替わりするたびに製作される劇場版のなかでも、ワンランク抜きん出た作品なんじゃないかと思うくらいの完成度。
アメリカ仕込みの坂本浩一監督によってライダーアクションが進化。ドカッ!バキッ!みたいなリアルな肉弾戦描写はもちろんのこと、ワイヤーアクション、バイクチェイス、CG合成なども海外の作品とくらべても遜色がないような熱量でふんだんに使っているし、それぞれの敵によって戦いかたが違うのもいい。
これの前に、仮面ライダー電王の劇場版だかオリジナルビデオだかはみてたけど、それはキャラ萌え特化型の公式同人誌って感じの作りが多くて、特段アクション作品として優れているようにはみえなかったから、この一作で劇場版のクオリティがかなり向上したのではないかと思う。
ストーリーがまず良かった。本編のストーリーの番外編的な劇場版として、お話の作りに無理がないし、ちゃんとハラハラする。
新たな敵によってガイアメモリの力が無力化され、あげく相棒も連れ去られてしまったことで大敗を喫する主人公。相棒のフィリップにも、自己のアイデンティティに関わる問題が降りかかる。キャラクターも出来上がり、本編のストーリーも最終局面となって、ほとんど敵なし状態だった左翔太郎をイッキにドン底まで突き落とすサディスティックなシナリオが、観客にさえ本当に負けてしまうのではないかと思わせるくらい程よい障壁を設定していた。
ダブルを圧倒する悪の仮面ライダーエターナルも、キャストがソピアだしイケメンだし、かなり強くて説得力があるし、改心とかする余地のない極悪人テロリストなのがまたいい。
やっぱり、ラストシーンがいいよな。ドン底までおちたライダーが上昇気流にのって大逆転!風の都と書いて風都。そこに住む人々が我が町の名物探偵の勝利を祈ることで奇跡が起こる。緑と黒のサイクロンジョーカーは、初代仮面ライダーの変身方法を踏み直し、更なる力を得て二人で一人の“ダブル”ライダーキック!これ以上ない完璧な流れだと思う。
戦隊と同時上映だから尺が短いのは仕方ないけど、各キャラクターをもう少し掘り下げてたら更に名作になったかも。
演技においては、格闘家で現在参議院議員(立民→無所属)の須藤元気がMVP。イキイキとしたくねくねオカマを演じている姿がみられる。イケメンで強いのね!嫌いじゃないわ!