KentF

アルゴのKentFのレビュー・感想・評価

アルゴ(2012年製作の映画)
4.1
イランと米国の関係が急速に悪化する今、この作品を観たあと、ある人はイランへの恐怖と敵対心を募らせるだろうし、またある人はペルシアの人々の尊厳に想いを馳せるかもしれない。
特に声明を読み上げる女性や、市場で訴える初老の男性は印象的で、Oscarを受賞し米国で成功しながらも、機微で繊細、抑揚の効いた異国情緒が通底しているは、学生時代に中東を専攻したという監督B.Affleckだからこそか。
外交特権・保護からの落差ある生命と財産の危機が、さらにスリルを掻き立てる。外交記録の破棄のシーンも効果的。

この作品が描く恐怖から、怒りや憎しみではなく、節制と畏敬の念がうまれることを願いつつ。
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