これぞ日本映画、大作中の大作!
これを大作と言わずしてなんとする。
まさにオールスター。
物語も骨太。
満州事変から太平洋戦争にいたる大歴史絵巻。
だいたいタイトルからしてド・ストレートな『戦争と人間』ですよ。
昨今のネトウなら、自虐史観だのなんだのと騒ぐかもしれませんが、そんな批判すらも吹っ飛ばすような熱量と力量がこもりきっています。
原作はもちろん、監督も役者たちもあの時代を本当に生きた人たちですから、自分たちの人生の総決算的な気迫がこもっているんじゃないでしょうか。
監督はあの大作監督山本薩夫。
あの時代ですから、何か所かあるミニチュア撮影は、いかにもミニチュアなのですが、そのミニチュアにさえ気迫がこもっているように思われるのです。
出演者はすべて日本人、ロケもあの時代のことだから、中国でなんかできなかったでしょうし、よくもあんな風景を撮ったものだと思います。
あの満州の広大な大地を映そうと最大の努力が払われているように思います。
そして何と言っても役者の素晴らしさです。
あの時代の役者がいかに力を持っていたかがよくわかります。
画面に登場するだけでオーラを放ってきます。
特に、悪役の側の素晴らしいこと。
遅れてきた資本家、伍代産業の当主を演ずる瀧澤修の知性を持った温厚な権力
者、冷徹な策謀化芦田伸介、血に飢えたテロリスト三国連太郎。
ドキドキするほど魅力的です。
そのうえ3時間の長尺。
それが3部まで続くというんだから大変です。(そのうえ未完とか…)
心して見よ!
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