昔の浅野忠信はなんだか、すごかった。90年代の後半から00年代にかけて、一風変わった邦画に出まくっていて、どこに出てもどこか浮いていて、異質なのにその映画の空気を支配していた。この前にも出演作はいくつかあったけど、彼の存在感を見出して世に知らしめたのはこれを撮った岩井俊二だ。その後も何度か一緒に仕事してるけど、この作品の浅野忠信がいちばんいい。ストーリーはハードボイルド少女漫画。当時新鮮だったバイクのデルタレディ(笑)プー、水槽だらけの部屋で聴くマーラー、よくわからない悪の組織と探偵。そしてなにより19歳の彼を正体不明の殺し屋役でフィルムに収めた幸運。いろんな意味で今はもう絶滅しちゃった日本のかっこよさへの憧れと情熱がつまってて、懐かしくて愛おしい。
