YusukeHorimoto

バッファロー’66のYusukeHorimotoのレビュー・感想・評価

バッファロー’66(1998年製作の映画)
4.3
⭕️初見

基本的に評価が高く、THE90年代アメリカ映画の香りをぷんぷん感じていて、それはつまり面白いだろうと思い鑑賞。

ヴィンセント・ギャロが監督、脚本、音楽、主演を務めた意欲作。彼のアーティスト性を全面に出した作品で、素晴らしい空気感が伝わってきます。

◼️とにかくアメリカのサブカル的雰囲気が終始匂っていて、堪らん。

基本的カメラワークや回想のシーンでの編集、色味などが独特の空気感で、演出として引かれる部分が多かったです。
何故だかチープに感じないのは、展開や設定が良いからというところがデカいですね。

日本にはないような、洒落が詰まってます。

ヴィンセント・ギャロは音楽家であり画家でもあるということもあって、音楽も中々こだわりを感じますし、細かなセットなどにも表現の隙がないように感じ取られ、全てで世界観を演出しています。

◼️シンプルにストーリー性が良い。

ラブロマンスですが、普通じゃなさすぎて色々と楽しめます。
まず目的が明確で、出会いのきっかけ、親睦の深め方も良く描かれていて、あまりにも主人公主観なのですが、そこにはヒロインの感情を深読みさせる演出が含まれているように感じます。

愛の形や人が人を必要とするということとは何なのかと、メッセージ性にも深みがありますね。

主人公のキャラクターは決して素敵に描かれているわけではないので、めっちゃ絶妙なところで、人によってはよく分からないってなりそうな気がしました。

個人的にこういった内容の作品には酒やタバコというのは付き物だと思っていて、それによる感情表現の演出がマストのような気がしていましたが、この作品には一切なかったので、驚きました。
主人公のキャラ設定上そういった演出を避けていたように思えましたが、そこにもトイレを我慢することによる情緒の揺れなどで表現されていて、独特すぎ。

◼️総括

この作品はヒロインがどういう人物なのか一切開示していなくて、個人的にそこがもう少し欲しかったです…。
ただ、そうしてしまうと余計なシーンが増えるし、もっと良くなくなっていた可能性大なので、私には完全にフィットしなかったのかも…。

でも、ヒロインの主人公を見つめる瞳は素敵でした。それだけでもう良い映画なのよ。

ただ、観ておいて損はない、素敵な作品です。

《好きなシーン》

ラストシーン手前で、ヒロインは何か悪い予感がして、主人公がコーヒーを買いに行くというのを疑います。「もう帰ってこない気がするの」という。
キスやハグをしてとお願いしますが、シャイな主人公は拒絶します。
「じゃあ、握手にしよう」と主人公が言って握手をするのですが、このシーンはほんと素敵でした。
2人の表情からも痛いほど気持ちが伝わってくる。ロマンチックだねぇ。
YusukeHorimoto

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