そーた

バッファロー’66のそーたのレビュー・感想・評価

バッファロー’66(1998年製作の映画)
4.5
金太郎飴

最高な映画ってどこをとっても最高なんです。
なんだか金太郎飴みたいだ。

この映画もそう。
どこを切ってみてもヴィンセント・ギャロこだわりのセンスが顔を覗かせていました。

家族に嘘をつくため、誘拐した少女に妻の振りをさせる男の話。

ジョークなわけでもシリアスなわけでもなく、何だか形容しがたい絶妙なバランス感覚で最初から最後まで突き進んでいきます。

オシッコを我慢しながらトイレをひたすら探し回るオープニングからして、もう他の映画と完全に決別してる。

立ちションを最終手段と考えられるモラルがありながら、家族を喜ばせるために誘拐をしてしまうというどこかずれた感覚。

主人公の生真面目でピュア過ぎる性格を端的に表しているように感じました。

僕が特に好きなのが中盤の食事場面。

映画史に残るイカれた食事シーンのベスト3を勝手に選ぶとしたら、この場面は第3位にランクイン。

このシーン。
一人一人の人間の視点でカメラアングルが次々と切り替わっていって、四人のうち三人だけが画面に登場します。
その3人のチグハグな感じがほんとに絶妙なの。

目の前で"他人"がやり取りする様をただただ傍観している感じ。

このシーンでの人と人の関わり合いは何だか無機質だし、会話は建設的じゃなく表面的。
だからこそ主人公と少女の交流の生々しさが際立っていて、血が通っている感じがするんです。

ボーリングに証明写真にデニーズと、二人の"デート"が行き着いた先は···

ラストシーンの気持ち。
凄く分かるな~。
僕にも経験がある感情。

ヴィンセント・ギャロが一番伝えたかった部分なんだと思います。

そんなピュアな感情に独特のセンスを纏わせて作り上げられていたこの作品。
どこを切ってもギャロ印なのはそんなわけ。

さてさて、イカれた食事シーン2位と1位の発表。

2位は『悪魔のいけにえ』。
堂々1位は『イレイザーヘッド』でした。

それではまた。
そーた

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