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千年女優のdendohのネタバレレビュー・内容・結末

千年女優(2001年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

放映当時、自宅に両親が買った松本零士『1000年女王』が本棚にあった私は、本作をただのパロディ映画と勘違いしていました。類似したタイトルを偶然とは思えず、どのような意図があったのかは全く謎ではあります。
実際は似ても似つかない作品であることは暫く経ってから知りました。それでも「1000年を生きる女優の話なのかな?」とか思ってましたが、演出はともかく、脚本にファンタジーやSF要素はありませんでした。

さて、本作は今敏二作目の監督作品。陰鬱で暴力的なサイコサスペンス映画だったパーフェクトブルーから一転、子供も安心して観られる全年齢対象作品となっています。平沢進の楽曲含めて怖いシーンはあるけど、まあ許容範囲でしょう。デジタル作画となったのですかね。作画的にもめちゃくちゃ見易いです。

パーフェクトブルーや妄想代理人は妄想と現実が、パプリカは夢と現実が混濁した演出がされていました。今作はというと、回想シーンと映画シーンが混濁しています。女優が語る回想の中にサラッと映画のシーンが入ります。とはいえパーフェクトブルーと違って意図的に誤認を狙ったものでもなく、まあまあ分かりやすいです。

そういえば自分はサラッと流してしまいましたが、最後のセリフが物議を醸したようですね。「あの人を追いかけてる私が好きなんだもの」千代子、生涯に渡って恋に恋し、それを原動力に女優生命を生きてきたんですかね。ここと老婆の存在に関する解釈は、色々と意見が分かれそうです。

因みに今日は2023/3/19。アカデミー賞作品『Everything Everywhere All at Once』を観た同日に視聴したのですが、めっちゃエブエブでびっくりしました。しかしながら、時系列的には当然逆なのです。エブエブのパンフに描いてあった通り、ダニエルズ監督が今敏の影響下にあるのです。今敏の世界的な影響力は凄まじいですね。つくづく早逝が悔やまれる作家ですね。
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