南森まち

千年女優の南森まちのレビュー・感想・評価

千年女優(2001年製作の映画)
2.6
昭和の大女優・藤原千代子。小さな映像制作会社の社長が彼女へインタビューをお願いに行く。最初は乗り気でなかった彼女は、社長が持参した鍵を見て自身の半生を語り始める…というお話。

テーマを名女優の生涯という狭いところに絞り込んだため、内容が分かりづらく人を選ぶ。少なくとも全然日本も日本映画の興隆も知らない海外の人はまったく理解できないかもしれない。
しかし、時代劇を中心とした日本映画と、戦前戦後の動乱期の彼女自身の人生をシームレスにつなぐアイデアはとても面白かった。

ただ、それだけと言えば、それだけ。映画内と現実が切り替わるたびに頭がリセットされるので、だんだん飽きてくる。しかも、申し訳ないが女優の人生も映画もありきたりに感じてしまった。

あと、この「昔の盛り上がっていた日本映画界」がテーマなら、実写の記録映画としてやるべきだと思う。あくまで実写映画の栄枯盛衰を語るんだから。実写でやるとお金がかかる内容だし、やったとしてもウケはしないだろう。
結局、「昭和の邦画黄金期」というテーマは、ほぼすべての観客がエンタメとして共感できないテーマだったと思う。

今敏がつくる映像美だけ語られ、内容を語られない映画になってしまったのは残念。