ToSh

千年女優のToShのレビュー・感想・評価

千年女優(2001年製作の映画)
4.0
かつて大女優と謳われた老女が自分の一代記を語っているはずが、記憶は錯綜し、昔演じた様々な役柄が混じりはじめ、波瀾万丈の物語となっていく

この作品は主人公の個人的な歴史と客観的な歴史、それに主人公の出演していた映画の部分から成り立っており、それを主人公の主観によってまとめています。

たとえ周りの人間に迷惑をかけようとも自分自身の思うところに誠実に、時には周囲や自身と壮絶な葛藤をしながらも真摯な態度で生きた人、生きている人、そして生きようとしている人に対するオマージュといえる作品。

劇中にははっきりそれと分かるような日本の名作映画を意識したシーンもあります。

車引きとお嬢様のくだりは三船敏郎主演『無法松の一生』。
戦国時代アクションは黒澤明監督『蜘蛛巣城』。
小津安二郎作品や『君の名は(1953)』も顔をのぞかせる。まるで映画史。
千代子のモデルは原節子。
(原節子は小津安二郎監督の逝去に伴って引退となり、その後は姿を現さなかった。)

Filmarksリバイバル上映にて鑑賞
ToSh

ToSh