セッキー

千年女優のセッキーのレビュー・感想・評価

千年女優(2001年製作の映画)
3.6
話は、立花という映像会社の社長が、往年の大女優、藤原千代子のドキュメンタリーを撮影するために、彼女の自宅に行くところから話が始まります。

彼女はかつて「銀映」という映画会社の看板女優だったんですが、40代で業界から突如姿を消して、以来ずっと隠遁生活をしていたんですね。彼女が取材を受けるのは30年振りです。インタビューが始まって、まず彼女は子供時代から女優になるまでを話し出します。

彼女は女学生だったころに銀映の専務にスカウトされます。「満州で撮影する映画に出てみないか」と打診されますが、親に大反対されてしまうんですね。彼女は女優に興味があったのでふてくされます。

そんなある日、彼女は外を悶々と独りで歩いていると、キャンバスを持った若い青年にぶつかられます。彼は警察に追われているようで、血を流しているんですね。うまく警察をやり過ごし、心配に思った彼女は自宅の蔵に彼を匿います。話を聞くと彼は満州で戦っている仲間のために活動をする画家で、思想犯として指名手配されていたことがわかります。「平和が訪れたら、匿ってくれたお礼に故郷の雪国に連れて行く」と言われ、二人は指切りで約束を交わします。

翌日、彼女が女学校から帰宅すると、家が警察に包囲されていました。彼が捕まってしまったと焦りますが、番頭から「彼は逃げて駅に行きました」と言われ、急いで駅に向かいます。ですが彼の姿はもうそこにはありませんでした。ひょっとしたら満州に行けば彼に会えるんじゃないかという思いで彼女は親の反対を押し切り、役者のオファーを受け、満州に向かいます。しかし勢いで来たはいいものの、住所も名前もわからないので当然彼は見つかりません。
もやもやした状態で演技もままなりませんが、彼女は役に彼への思いを込めることによって迫真の演技を見せるんですね。

その後も彼のことを想い、彼の手がかりを探しながら、様々な作品に出続ける彼女は、会いたいという気持ちを表現に昇華することで、大女優へと成長していきます。

名前も知らない男を半世紀以上に渡って想い続けた彼女は果たして彼に会うことができるのか…

というのが本作です。
セッキー

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