モラトリアム映画としての側面もそうだけど、カップル倦怠ものとして深く胸に刺さった。相手に甘える男と尽くすことで愛を確かめる女。カップルの喧嘩のシーンは実にリアルで、特に男の理詰め感は「レボリューショナリーロード」のディカプリオを彷彿とさせた。時系列をバラバラに熱々の時期と冷め切った時期を交互に描く見せ方も見事。日本版「ブルーバレンタイン」と言っても良いかもしれないが、実は本作の1番の見どころはリアルな日常会話にある。さすがは舞台演出家出身の監督が手掛けてるだけあって、「なんか」や「あれ」が多く使われる、たどたどしい会話の中に、今の若者のコミュニケーションの取り方や距離感の図り方が透けて見える。音声だけで聴いても楽しめる映画ではないか。しかし藤原季節の存在感たるや。こういう人何人も知ってますよ。
