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ミッドウェイ囮(おとり)作戦のmhのレビュー・感想・評価

5.0
ミッドウェー海戦のアメリカ側視点であり、かつ空母・雷撃隊が主役という珍しい作品。
史実では日本側の暗号を解読したのがアメリカ側の勝因とされているけど、この映画ではそこには触れず、空母による作戦行動が成功したからミッドウェーで勝利を収めたというストーリー。
真珠湾攻撃以降、なんのアクションも見せず批判が高まったアメリカ海軍からのアンサームービーみたいな位置づけ。
空母への着艦の様子、発艦の様子が克明でこれみてるだけでも面白い。
スピードが足りずに甲板から着水するグラマンTBFアベンジャー雷撃機とか、どうやって撮影したのかまったくわからなかった。
乗組員にオスカー像を持ち歩く若手俳優がいたり、そんな彼にファンレターがどっさり届いたり、空母で野菜を育ててる変わり者がいたり、艦内で映画を上映してたりと、日常描写も面白い。いくらフィルムがこんがらがっても、映画が天地逆さに映るのはありえないレベルのミス。左右反転ならけっこうありえる(けどその場合はピンボケになる)。このシーンは面白い。
いっぽうで、少しのミスでも見逃さない艦隊生活を描いており、ゆるい日常と厳しい規律を同時に描くことに成功している。
艦内放送のマイクに向けて、まず甲板士官が号笛(ボースンコール、ボースンズホイッスル、サイドパイプとも)を吹いてからかわって、艦長が話しだすとか珍しくてありがたいシーン。
魚雷投下→いったん深く潜った魚雷が、浮上、海上でいちど大きく跳ねてから、海面近くを進み始めるとかそういうのもフィルムに収めてる。こういうのはやはり実写に限るね。
もっともすごいと思ったのは、隊員たちが交わす無線を、クライマックスのアクションシーンの代替品にしたところ。このチャレンジが奏功して、音だけですごい迫力と臨場感を獲得している。
黒板に書かれた搭乗員の名前を消すことで、劣勢を示したり、この映画は省略がやたらうまい。
作中では描かれてないところだけど、日本側の反撃が遅かったのは、南雲中将が例の失敗をしでかしたところかと思う。
フィルマークスの点数は低いけど、とにかくおすすめの一本。
アカデミー脚本賞にもノミネートされたというのも納得の超面白いプロパガンダ映画でした。
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