垂直落下式サミング

大蜥蜴の怪の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

大蜥蜴の怪(1959年製作の映画)
3.0
車内でイチャつくカップルが、大蜥蜴にクルマごとやられる開幕はなかなか良好。当時、ブームのピークで最盛期を極めたドライブインシアターでの上映を念頭に置いたものだと思われるが、不穏なナレーションに反して男女が盛ってたら唐突にドカーンと来て、トカゲの前足がのしっとカメラに向かってくるところで、ばばーんとタイトルが写し出される高テンポなスピード感には光るものがある。映像編集としてハイセンス。
怪物はホンモノのトカゲを使った特撮で表現。これがなかなか思うように動いてくれなかったのか、のしのしのしのしと鈍臭い。あの巨体は砂を引きずりながら近寄ってくるのだろうし、急に現れても大人が頑張れば逃げれる程度の速度だと思う。
人が襲われるところは編集で繋いでいて、特撮で同じ画角におさまるわけではないから、ひっ迫した脅威を描けてはいないし、なんか普通にそこらへんの野っぱらみたいなところにトカゲを配置して歩かせてるから、サイズ感もよくわっかんないんのよ。適当に作って一丁アガリみたいな、当時のB級らしい手の抜き具合。
主人公の妹が歩いてみせる姿は、ちょっとベタすぎて恥ずかしけれどストレートに感動。この前に会話の中で足が悪いみたいなことを触れていたけれど、急に出てきて頑張ってる姿を見せられて、感極まったお兄ちゃんがバンジョーだかウクレレだかを弾き語り(長めのフルコーラス)したりして、家族の愛みたいな雰囲気になるから、不意打ちをくらってしまった。古くから感動ポルノの常套手段は、身体障害と歌ってわけね。まけないでっもーおーすこしっ!