つのつの

サニー 永遠の仲間たちのつのつののレビュー・感想・評価

サニー 永遠の仲間たち(2011年製作の映画)
5.0
なんて面白くセンチメンタルな作品だろうか。

青春の輝きを年代を重ねてから振り返り旧友と再会するという物語からすでに一定の感動は予想されるだろう。
でも本作の魅力はただのノスタルジックな感傷だけではない。
まず圧倒的に「面白い」。
過去と現在を交差させる手法はよくあるけれどここまで鮮やかにシームレスな転換を繰り返す作品は見たことがない。
それぞれのパートでの語り口も多少の御都合主義はあるものの、非常にテンポ良く意外な展開をこまめに挟むので全く飽きなかった。
下手したら普通の韓国アクションより面白かったかも。

さらに素晴らしいのは、ウェットな着地を上手く回避している点。
最終的に全員が元どおり再開してオールオッケー!!^ - ^というバランスでは決してないし、みんなとわだかまりが解けるわけでもない。
あの後みんなが元どおり仲良しグループとしてつるんでいくとはあんまり考え難いだろう。

つまり彼女たちは、青春の輝きを一時的に取り戻すことで、わずかに残っていた青春の残り香を完全に消しているのだ。
だからエンディングには多幸感よりも切なさを強く感じた。

だけれど、例えもう二度とは戻らない青春の一ページであっても、かつてほろ苦くも輝いていた日々を最高の仲間たちと共に過ごしたという記憶さえ大切に残っていれば、人は誰でも人生の主役として胸を張って生きていけるのだ。

主人公が失恋したかつての自分を抱きしめるシーンが全てを象徴している。
無意識の中にしまっていた孤独や傷に打ち震えていたかつての自分をそっと癒してやることは、過去の自分と現在の自分を肯定することに他ならない。
傷も友情も記憶として内面に取り込んだその人の人生は、かけがえのないものなのだと思う。

辛くなったら見返したくなるような大好きな作品になりました。
ありがとう

役者陣のアンサンブルのチャーミングさはわざわざ語るべくもないので省略します。というか見たほうが早い。推しはやっぱりスジさんですかね。


キャッチコピーをつけるのなら
「美しい思い出の中で、
あなたはいつでも人生の主役だった」
つのつの

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