予期せぬ殺人が起きる場、その用意されたステージこそがトビー・フーパーのホラーなのだと改めて思う。殺人鬼や殺しの手法より、迷い込んでしまった人間が酷い目にあう曰く付きの領域、その邪気が渦巻く磁場こそがトビー・フーパーの映画では重要。
呪われた建物が生み出した怪物。真犯人が判明するわけでもなく、ただ人が残忍に殺され続けるだけ。格好つけた勿体ぶる映像美より、その暴力は突然に、人の死に意味などない。
吊るされたビニールシート、変人、無駄だが必要な笑い。終盤の怪物との攻防もそうだが、アクションもしっかり撮れるトビー・フーパー。寂しいよ。今からでも墓場で新作を撮ってくれ。