ダミアン君に恋してる

殺人天使のダミアン君に恋してるのレビュー・感想・評価

殺人天使(1982年製作の映画)
5.0
バイオレンスの美しさにに魅了されゆく
サクソフォン奏者
一人の少女の死が彼を狂わせた―――

ニール・ジョーダン 初☆監督
    ×
スティーヴン・レイ 初☆主演

当時2人とも30代。
とんでもなくレアもの感だぞっ…!!!

色々と確認の意味も含め、作品の理解を深めたくて2回続けて鑑賞した。

はぁ…♡
あのクリクリ天然パーマわしゃわしゃしたい…♡

レイ様がバンド演奏に合わせて舞台の上でサックスを演奏する姿、本物のミュージシャンみたいなパフォーマンスで物凄くカッコ良い!!これは惚れる!!官能的でなんとも味わい深い音色…うっとりだわぁ…♡

あの少女の気持ちが良く分かる。

けれど待って、あの少女は一切耳が聞こえなかったはず…ということは、ただただ美しい心で見て感じてたってことだぁ。憎悪渦巻く世界でただ一人…それってピュア過ぎて泣けるやつじゃん…それこそこの世で最も大切にしないといけないものなのに…

IRA(アイルランド共和国軍)を題材にしており暗く悲しいストーリー。だからこそ、あの純粋無垢な少女との出逢いこそ"光"として在る。

主人公ダニーは一瞬で光を失ってしまった。心痛から空虚にかられ、ついには何も感じなくなってしまう。そして彼は復讐の天使となり暗殺者たちに血の裁きを下す…

本来なら楽器を持つはずの手が、マシンガンへと取って換わる瞬間。次第に麻痺してゆく感覚。復讐をしても悲しみは決して癒える事はないのに…

音楽家を自由と平和の象徴に見立てて、どうしようもない絶望と切なる願いを物語ってる。

劇中でも歌われるアイルランド民謡「Danny Boy」がハートに沁みる。調べれば、ケルティック・ウーマンの「You Raise Me Up」はこの曲をベースに作られているらしい。すぐに分かったよ、だってメロディーラインがそっくりだから!まさに天まで届くアイリッシュソング♪♪


奇跡を起こす聖なる力
神様は真実をお見通しだった
人はみな"罪人"
愛と同じくした殺人の罪は赦されたもう


言葉数も少なく、状況説明が足りないようなドキュメンタリーっぽい作風、宗教色もあり、どちらかというと解釈が難しい映画だと思う。

1回目は役者の顔を全員覚えきれなくて、誰が誰だかこんがらがっちゃったんだけど2回目は良かったな。作品のメッセージ性も何とか分かったし。

何が良いって、レイ様が力んで演じていないこと。とっても自然体。
初めて撃つシーンなんかは完全に目が据わってて、重力に逆らったあのフワッとした肩の力の抜き具合といい狂気が感じられてちょっと怖かったなぁ…あのシーン忘れられない。

『ことの終わり』の特典映像でレイ様が"説得力のある俳優"だと言われてたのを思い出す。なんか分かる気がする。フィルムに自然に溶け込んで、過度な表現でなく等身大をありのままに表現してる。いるだけで味が出るというか…妙に掴みどころのない不思議な魅力のあるお人だ。"アンニュイ"っていう言い方が似合ってるかも♡

「What's Your Name?」という普段なら一見何でもないようなこんな台詞が怖いと思ったのは本映画が初めて。この言葉が何度も出てきて湧き上がる激情と共に強く印象に残る。呪いのスペルみたいに。

ラスト~エンドロールのあの現象も謎、意味深な天風エンド。ぜひ監督に説明して頂きたい。考えると眠れなくなる…

鬼才と讃えられるほどのニール・ジョーダン監督の出発点を観られて嬉しかったな。お国柄が出ていて、異文化体験も楽しめた。ある種おぼつかない雰囲気が若々しくもあり、ローカルな温かさが籠っていて素敵。

アイリッシュ英語のアクセントって、なんだか舌ったらずみたいで可愛らしいところがあって、ちょっとクセになる感じね♡

今更ながら、レイ様のお品があって整ったお鼻フェチだという事に改めて気づいてしまった自分…おいしそう…カプッ!っとかじりたくなるんだよ~あのお鼻…ププ♡

ぁ~!!?? 今、思いついたんだけど…ラストのあれは"天使の羽"が舞うイメージなのかな?
違うか…分かんない!
おせーてかんとくーぅ!!!!!


Oh Danny boy...I Love You so...

貴重な映画、大切にしたい*☆


*☆Keyword*☆
『Saint Executioner』