ベカオースター

ミュージック・オブ・チャンスのベカオースターのレビュー・感想・評価

4.0
再レビュー。原作者ポール・オースターの訃報で何も手につかず。どうかこの作品を配信してください。VHSは持っているんで過去に何度も観たけれど。
忘却の淵は有刺鉄線で囲まれている。逃げ出すことも出来ず。忘れる為には痛みが伴う。痛みに触れ引き返す。広大であるかのように見せかけて閉塞した平野に作る壁。それは拒絶の壁ではない。壁を作ること、打ちのめされて横たわるアイデンティティを起立させる為の代償行為。そして彼は最後の衝突に向かった。映画版にはポール・オースターも称賛した驚きのエンディングが。救いのない物語に救いをありがとう。
ちなみに仲村トオルと田中圭(初演は小栗旬)で舞台化されていて、その映像もどうしても見たいです。マジでお願いします。