チョコが大嫌いな子供だったので、恥ずかしながら初見。大人になってようやくチョコを克服しつつある。
「善良であれ」「家族を大事に」というすごくまっすぐなテーマで、貧乏一家の優しい少年が工場への旅を経て元の場所に回帰するというザハリウッド的な映画。特出したいのは2点。
まずキャラ造形。地獄の子供たちの個性が豊かで、ただチケットが当たるだけの第一幕がちゃんと面白い(七人の侍的)。みんなの結末も因果応報で寓話的。ミュージカルというオブラートに包んでいるけど。
ウォンカはもちろんだけど、ウンパルンパも印象的だし、「時の洗礼」に耐えた作品の強度がある。そこがティムバートンの凄さ。
推しは老人たち。4人でベッドにいるの可愛い。口の悪さもリアルでチャーミングだし、耳塞がれた音響を再現する表現、いつかどこかで真似たい。
次にバディものとしての側面。ウォンカには父親との悪い思い出があって、工場ではその記憶をチャーリーがいつもきっかけとなって呼び起こす。この伏線の作り方は面白いと思った。
正直中盤以降は悪い子供を懲らしめるだけの一辺倒な展開でやや退屈だし、どう締めるんだろう?と思っていたけど、そうきたか!となった。
家族が一番のチャーリーと、家族がトラウマのウォンカのバディもの。そういうふうに観客に意識させずに組み立ててるのがすごい。
気になるのは…みんな物分かりが良すぎるところ。子供たちをあんなめちゃくちゃにされて大人しく帰るんか?とかは大きな違和感。
終盤のテーマ回収もかなり駆け足で、ウォンカはすんなり父親に会いに行くし、チャーリーもすんなり協力する。もう少し対立した方がグッときたと思う。靴磨きで後から顔を見せるということで突破するアイデアはすごいと思った。
あとは『2001年』と『サイコ』の引用が食傷気味というのも思う。
KISS?QUEEN?みたいなMVオマージュもあったけど、ウォンカは髪型含めてキャラデザの元にフレディがありそう。
あとはやっぱり序盤から当時全盛期だったハリーポッターの香りを感じる。中に何が広がっているのかわからない大きな建物のロマンと、魔法使いのような主人公。
グミ工場とかシュークリーム工場とかプリン工場ならもっと早く観ていただろうけど、やっぱりチョコって少し「禁忌」な感じがしてそれが魅力なんだろう。