フランスの女流作家フランソワーズ・サガンのデビュー作にして世界的ベストセラー小説を、オットー・プレミンジャー監督が映画化。
南仏リビエラ。17歳の少女セシルが、金持ちでプレイボーイの父親とその愛人の3人で、夏のバカンスを別荘で過ごす。ある日、亡き母親の友人であったアンが訪ねてくる。
"Bonjour Tristesse" 💧
原作未読。
子供が持つ未熟さ故の残酷さをテーマとした、ソープオペラ風のメランコリックな50'sティーンガール映画。多感な時期を向かえた少女が、一生忘れることのできない愛憎劇を通して、強い痛みを伴いながら大人の世界に足を踏み入れる。テーマ曲"Bonjour Tristesse"♪の聴こえ方が、最初と最後で大きく変わった。
英米合同制作の作品だそうだが、原作がフランス小説だからか、ちゃんとフランス映画、もっというとヌーベル・バーグ映画のような雰囲気があった。ジーン・セバーグ演じる天真爛漫で挑発的な"セシルカット"の女性、真夏の眩しい太陽と青い海が映える開放的なロケーションを鑑みると、『勝手にしやがれ』の前日譚のようにも思えた。
1957年、アメリカン・ニューシネマの代表作『卒業』の約10年前の作品ということだが、ヘイズ・コードの時代に、不倫がこれほど大胆かつ瑞々しく描かれていることに驚いた。当時は、かなりセンセーショナルだったのではないかと思われる。
特徴的だったことは、『サイコ』みたいに心の声がボイスオーバーで語られることと、現在のシーンはセピア色、回想シーンはカラーで色分けされていること。
印象的だったのは、ダンスパーティーで朧げな表情を浮かべるセシル(セピア色)に、その後に語られる舞台となるリビエラの風景(カラー)がオーバーラップされるシーン。この映像表現は初めて見た気がする。
主演は、本作が映画デビュー作となった『勝手にしやがれ』のジーン・セバーグ。どうしようもなく女たらしの父親役は、『ナバロンの要塞』『ピンクの豹』etcのデヴィッド・ニーヴン。セシルからライバル視される大人の女性アン役は、『地上より永遠に』『めぐり逢い』etcのデボラ・カー。
日焼けには十分気をつけましょう。
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