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悪魔のadeamのレビュー・感想・評価

悪魔(1972年製作の映画)
2.0
ポーランドの共産政権から上映禁止処分を受けたアンジェイ・ズラウスキーの監督二作目。
隣国による分割の憂き目に遭った18世紀末のポーランドは混乱を極めており、そんな動乱の世の中で悪魔に魅入られた男が剃刀で周囲の人々を次々と殺害していく物語です。
話の運びは一筋縄では行かず、現れる人が軒並み叫びのたうち回るという狂気じみた展開はかなりアヴァンギャルドで、自己満足の世界と言えなくもないのですが、そこに観客を惹きつけるパワーがあるのは確かだったと思います。
プログレのインストのような音楽がやけにカッコよく、カメラがカメラとしてではなく、1つの視点として作中に入り込んでいるかのようなカメラワークも凄まじい迫力をもたらしています。
堕落して腐敗した世の中に潜む悪魔が男を巧みに誘惑するのを神に仕える修道女は傍観するしかありませんでしたが、最後に一矢報いて悪魔は獣の姿を表します。
その結末が宗教的な希望なのか政治的な皮肉なのかはよく分かりませんでしたが、画の力で2時間押し切れるのはすごかったです。
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