悪魔の作品情報・感想・評価

「悪魔」に投稿された感想・評価

ロラン

ロランの感想・評価

3.0
『夜の第三部分』よりは観ていられるけど、この映画も大したことはない。あまりに残酷すぎるので当時のポーランドでは上映中止になったらしいけど、合理性に欠けて見えるだけで、悪魔に見出されて殺人を繰り返す主人公は、荒廃した世界に絶望し、苦悩する存在として描かれている。変わり果てた実家に火を放つ場面がその最たる例。

実際、映画を観ていると、この主人公が一番正常なのではと思えてくる。それくらい周囲は、説明不在の狂気に満ちている。ただ、狂気といっても森の中のサーカス団や実家にいた小人などのように、どちらかと言えばシュールな要素が多い。悪魔と思しき男の正体も然り。その男が主人公を連れ出す冒頭の精神科病院の描写が一番凄い。
ninjiro

ninjiroの感想・評価

4.5
冒頭から、ずーっと地獄絵図。

ズラウスキーのどの作品(知る限り)にも言えることだが、この異常なテンションは何だろう?
作画的なことで言えば、手持ちカメラによるテンション作りは深作欣二始めその類があるが、それは要所要所の瞬間沸点の表現としての真っ当なテクニックである。

この作品の中身は、その撮影の異常なテンションと、異常なシチュエーション、不安感を煽る狂った伴劇、そしてキャストの演技がそれぞれが異常なテンションで発狂したように怒り悲しみ我を忘れ喋り叫び、時に猥雑であり、時に善悪を通り越した彼岸にあるような、押し並べて誰一人まともな人間が居ないという、全てが異常な状態で、徹頭徹尾カオスに満たされた、狂気の空間である。
この空間に於いて、ズラウスキーはどのようにこの狂った演技を演出したのか、そもそもちゃんとしたプランやプロットがあって撮影をしたのだろうか、と疑いたくなる程の、迫真の狂気の見本市である。

自分が普通の感覚の持ち主である、と自信を持って言える人は、本作を絶対に観てはいけない。

そんじょそこらの視覚的グロを観る耐性とは比較にならない程、人を人とも思わぬハイパーな背徳に対する耐性を要求されたかと思えば、おぞましいの程の対人執着を見せつけたり、自由自在、麻薬的な狂気の浮遊感は、確実に脳の一部を痺れされる。

筋を追ってもどうやっても整然と意味が通じないことばかりだが、これも最早この監督の個性である。
さっきまでの清廉の君子然とした者が次の瞬間狂ったように喚き、恐ろしい勢いでのたうち回り、全く理屈に合わないことを理屈として当たり前に行動原理とする異様な世界。
まさに悪夢とはこのような世界である。

この世ならぬ、まさに地獄のような世界を行脚する主人公と我々。

悪魔とは一体誰のこと?
18世紀末、怪しいプロシア人の男により囚われていた精神病院から抜け出したたヤコブは、家路を目指すのだが、その道中、まるで悪魔にとり憑かれたかのように残虐行為を繰り広げて行く猟奇殺人鬼と化す。
その描写があまりに凄まじく、暴力も性行為も半端なく過激で残酷、汚物まみれで死体の山で、出てくる人間も変態ばかりで、アシッドな幻覚トリップまである狂いっぷりのとんでもない鬼畜なキチ○イ映画。生易しさの一切ない、荒涼とした風景の冷たさ。
抑圧が人を狂わせたのか、狂っていたのか。監督の正気さえ疑うわ(笑)
まるで激流に呑まれるような勢いで観た後、素晴らし過ぎて茫然とした。
狂っているが美しい。
まさしくアナ-キ-で本当に向こう側へ逝っちゃってるから、上記の内容に少しでも抵抗感じる方には決してお勧め出来ない。