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鉄拳のべるのレビュー・感想・評価

鉄拳(1990年製作の映画)
4.7
とてつもなく未完成で訳がわからないのだけど、絵とセリフと間とスピードで「納得」を流し込まれ、若かった僕にはそれがとても心地良かった。
父親失格の菅原文太と息子失格の大和武士、映画は二人を対比してるんじゃなく、共闘してる二人を描いてるんだよな。
格闘技経験者の殺陣が見事で、クライマックスシーンだけで5,000字くらい感想がある、誰も読まないので書かないが。当時は大和武士に憧れてたけど、今となってはそれに負けない菅原文太が死ぬほどカッコいい、あんな57才になりたい。それを助ける原田芳雄も敵として受け止めるシーザー武志も皆死ぬほどカッコいい。この映画はカッコいい男たちの物語だ。いや、桐島かれんもカッコいいじゃないか。
この映画は大学の部落解放論かなんかのかなり偏った授業で観た。その日のうちにレンタル屋で借りて、ダビングして、何十回も見た。DVD出たからすぐ買って、また何十回も見た。後年、阪本監督にお会いした時に自らが「鉄拳ではなく欠点」と言われてて、いや僕の人生の指針となった映画ですって言ったら笑われた。
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