囚人13号

ボディ・アンド・ソウルの囚人13号のネタバレレビュー・内容・結末

ボディ・アンド・ソウル(1947年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ボクシング映画、フィルム・ノワール永遠のベストワン。

もはやスポーツではなく組織の金儲け事業へと成り下がったボクシング界(=アメリカそのもの)で、道具としてチャンピオンに仕立て上げられた男の葛藤が描かれる。同じボクシング映画の『傷だらけの栄光』『殴られる男』と一線を画している点はギャングの踏み込んだ描写も去ることながら、主人公のボクサーを単なる正義漢ではなく普通の人間と同じ金、名声に飢えた男として後半まで登場するためヒーローの成功譚にはなり得ない。

しかし友人が殺され、八百長で負けろと脅しをかけられついに妻の身にまで危険が及ぶと、彼は長らく失っていた人間性を取り戻す。クライマックスである試合のシーンは一体幾つのカットで成り立っているのだろうか、見る度に胸が熱くなり数えることなどまず不可能だ。

試合後、脅しを試みるギャングに言い放つ最後の一言が素晴らしく爽快で自信と希望に満ち溢れている。会場の熱気とタバコの煙、ギャングの束縛から放たれた2人の後ろ姿を目にしてこれが最高のボクシング映画だろうと確信してほしい。全てのスポーツ映画の基準でありバイブル、大大大傑作。
囚人13号

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