懐かしさに再度視聴。
2010年、これを観たくて初めてミニシアターに行った。
ストーリーはよく覚えているがやはり強烈だ。
妻に暴力を振るったり、中国で女性に乱暴したり、同情の余地がないとも言えるが、四肢を失い聴力も失い、軍神さまと崇められて、生きるしかない男の悲惨さも伝わる。
必死に妻の務めを果たす寺島しのぶの演技が迫力すぎる。口で言うことと裏腹には男への複雑な思いと世間への意地が錯綜しているように思われる。
戦地に送り出す人々、竹槍を持って訓練する女たち、こんな時代だったのだ。今となっては一体なんだったのだとしか思えない。
衝撃のラスト、少し安堵も覚えた。この男は軍人として、唯一の生きがいがなくなった時、こうするしかなかったのだと思う。そんな力が湧いたことに信念と時代の残酷さを感じる。
多くの人が英雄から戦犯になってしまう、最後に示される処刑された人数にも戦慄だ。
観て気分のよい映画でないのは確かだが、強烈な反戦映画。
人間の愚かさを忘れてはならない。時代が正しくはないのだ。
若松作品だったんだなあ。評価が低いのは残念だ。