三樹夫

サンゲリア2の三樹夫のレビュー・感想・評価

サンゲリア2(1988年製作の映画)
2.8
原題はZombi 3。ロメロの『ゾンビ』がヨーロッパではDawn of the DeadではなくZombieのタイトルで公開されており、『ゾンビ』のヒットにあやかって『サンゲリア』はZombi 2のタイトルで公開された。そして設定やストーリー的なつながりは一切ないが『サンゲリア(Zombi 2)』の続編ということでこの映画の原題はZombi 3となり、それで邦題は『サンゲリア2』となっていると結構ややこしい。『サスペリアPART2』みたいに日本の配給会社が勝手につけたというわけでは一応ない。
元々は3D映画と宣伝されていたが結局は3D公開はなく、さらにフルチが病気とプロデューサーとの衝突で途中で降りてしまった。フルチ降板後はセカンドユニット・ディレクターのブルーノ・マッティが担当して完成した。ブルーノ・マッティによると、自身が撮ったのは全体の40%で、冒頭のデス・ワンが盗まれるシーンや化学服部隊が出ているシーンを担当したとのこと。ロケ場所はフィリピンで、理由は安くつき撮影場所的にも便利だったから。

撮影のゴタゴタが作品にも影響しているような出来となっており、腕ぶった切り、足がない、顔を横にパーティー開け、ゾンビDJはホラー的な快感があったがそれ以外は平凡な出来となっている。やってることはひたすらゾンビが大量に襲ってきて銃を撃つか、格ゲーのバトル中みたいなBGMがかかってアクションかぐらい。フルチと言えば、人体が損壊する様を1から10まで丁寧に描くのが特徴だが、この映画では損壊する過程が飛ばされて結果しかないのも満足度が低い。一番痛かったのは『サンゲリア』のゲログチョゾンビを作り上げた特殊効果のジャンネット・デ・ロッシが不参加なことだろう。
身体全体にまでウィルスが蔓延してるのに今更腕ぶった切っても遅くない?なんでいきなり両足千切れてるの?なんでまだ乗ってないのにヘリ上昇させてるの?藁の下にベトコンみたいにゾンビが隠れてたのは何故?今までいた場所から突然アルプス高原みたいな所にワープしてるなど、もの凄くアバウトな感じに話が進んでいく。冷蔵庫から飛び出すゾンビ首はこれどういう原理となりながらも楽しいのは楽しいが。

話は軍の生物兵器が奪われ感染者が出る。科学者の忠告も聞かず軍が死体を焼却したため灰でウィルスが拡散と、鬼畜無能軍隊がひたすらゴミクズムーブかまして被害が拡大する。どこかで観たことあるような展開が散見され、『ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖』、『鳥』、『バタリアン』、『エイリアン』、『ゾンビ』など他作品のつまみ食い感がすごい。
何故かやたらスモークを焚いているのが印象に残るのと、東南アジアが舞台ということでゾンビにアジアンな感じが出て『霊幻道士』っぽさがある。ゾンビが結構好戦的で隙あれば肉弾戦をしかけてくる。
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