【第16回アカデミー賞 作品賞他全3部門ノミネート】
『ニノチカ』エルンスト・ルビッチ監督作品。ルビッチ初のカラー映画で、アカデミー賞では作品賞、監督賞、撮影賞にノミネートされた。
ソフィスティケイテッド・コメディの代表作とされる作品で、ルビッチらしい軽妙なタッチが印象的。
生涯を終えた男がエンマ大王相手に自分の人生を語るという話。まぁありがちな形式、内容ではあるが、概ね楽しんで観ることが出来た。
およそ10年ごとに人生を語っていく一代記であり、主に女性遍歴が描かれる。女たらしの主人公といとこの婚約者の略奪婚、そして結婚生活が主な内容になってくる。主人公に共感はできないものの、軽妙なコメディタッチで描かれていて気軽に観ることができる一作になっている。
ジーン・ティアニーがとにかく美しい。ヘンリーが略奪婚したくなるのも分かると思ってしまうほど。主人公のドン・アメチーもいいんだけどこれはティアニーの映画。
ラブコメというジャンル自体好きではないという個人的な好みはあれど、誰でも楽しんで観られる一作であることは間違いない。カラー撮影も素晴らしい。エンマ大王の部屋などの室内美術を鮮やかに映し出している。
ルビッチ作品はそんなに観ているわけではないが、「なるほどこれがルビッチか」と作風がよく分かる作品だった。