天国は待ってくれるの作品情報・感想・評価

「天国は待ってくれる」に投稿された感想・評価

堂ノ本

堂ノ本の感想・評価

5.0
オールタイムベスト級の傑作。

時代、世代を超えた反復。本。扉。
歳を重ねるごとに深まる愛が最後の誕生日には、本当に2人だけの空間へ誘ってしまう。

とりわけ扉も素晴らしい。開ける閉めるというシーンのリズムを生むだけでなく、自発的に動きたくない時には開かれない、この単純な装置が見事な情感を生み出す事に成功している。

テクニカラーで彩られる画面に青の映えた衣装を纏うジーン・ティアニーが現れる。やはりその美しさに虜になる。我、幸福の科学をここに見つけたり。
人生を終えたヘンリーは、閻魔様の前で自分の人生を振り返る。本屋で出会ったマーサに惚れ込んだヘンリーは、書店員のふりをしてアプローチ。だが次再会したのは、いとこの婚約者としてマーサを紹介された時だった。
思わず駆け落ち。最愛マーサの死後もヘンリーは女遊びを繰り返す、、。
プレイボーイとして描かれるヘンリーだが、女性を傷つけることはしなく、描かれ方も温かい。駆け落ちも肉親が応援したりとどこかリアリティもあっておかしく笑える。心温まる人生賛歌。
ち

ちの感想・評価

4.8
涙腺を直撃してくる素晴らしいコメディー。ルビッチ唯一のカラーなんですけども、配色の良さにまず驚かされます。セリフや構成の無駄の無さからも分かるように全体的によく統制されています。空間に人がハマりヌケて、無人になるこの映像感覚、書斎の反復ショットなどで視覚的に喜びと悲しみを突きつけてきます。
犬

犬の感想・評価

3.6


死んだヘンリー・ヴァン・クリーヴは、地獄の受付へとやって来る
彼は自分は罪深いと思っていたが、閻魔大王からこれまでの人生を振り返れと言われ....

死んで地獄に落ちた男が、そこで自分の人生を回想する姿を描くコメディドラマ

製作・監督はエルンスト・ルビッチ

果たして彼の運命は⁉︎

設定が面白い

死んだ後、自分の人生を振り返ってどう思うのか
なかなか考えさせられる作品でした

女性問題あり
マーサとのダンス良い

ジーン・ティアニーがお綺麗だった
多幸感。人生は登ったり降りたり、階段のようだ。そう言えば、まだルビッチ・タッチ読んでない。。。

2017年鑑賞
SH

SHの感想・評価

3.7
理解者のおじいちゃん、みたい人がこの手のお話には登場するけど作品にいい味だします。
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〖天国は待ってくれる〗
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このタイトルが可愛くて好きだ。

これ、ルビッチの初カラー作品らしい。ちょっと皮肉でエッジが効いたジョークが溢れていて、だけどロマンスの美しさは損なわれない。ルビッチタッチが光り、ヒューマニズムを感じさせる1940年代ハリウッドコメディの傑作。

エルンスト・ルビッチ。
元々コメディアンとして活躍したドイツ人であり、ハリウッドにやってきてからはミュージカルとは異なるシネオペレッタを築き上げ、喜劇の天才として君臨、シャレたタッチで描き出す彼の演出は後のハリウッド映画に大きな爪痕を残した。
私の大好きなビリー・ワイルダーや、小津安二郎にも大きな影響を与えた偉大な映画監督。

天国と地獄の分かれ道にやってきた男が、地獄行きに違いないという自らの人生を、門番である閻魔大王に語り始める。そのなかで、男はいかに人々に愛されて生きてきたか、そして、大切な妻とどのように暮らしてきたかを思い返してゆく。やがて、天国行きか地獄行きかを決める閻魔大王が、彼に放ったのは…

どことなくフランク・キャプラの〖素晴らしき哉、人生!〗を感じさせるプロット。
キャプラも、ルビッチも、コメディの中に人生賛歌を歌うような傑作を作り続ける最高の監督なんだけれども、ルビッチといえば「ソフィスティケート・コメディ」と言われる、いわばドタバタコメディとは一線を引く洗練された洒落たコメディを作り上げる天才でした。

これもまた、〖素晴らしき哉、人生!〗のなかのジミー・ステュアートよろしく妻と二人三脚して人生を歩み、死に呼ばれた男の回想劇となるのだけど、そこにかかる主人公の生き方、セリフ、コメディアイテムがどれもこれも洒落ているのです。

あと、アメリカの良心とも言われるジミーと違うのは、ドン・アメチー演じる主人公は苦労を知らない放蕩息子でプレイボーイという点。キャプラスクで描かれるのは「正義は勝つ」「清く正直な人間は報われる」という人生の美訓、ボンクラ主人公なんてまず出てこない。
対するこのルビッチの作品は、そういう意味では皮肉めいているのである意味対照的とも言える。

そしてヒロイン演じるジーン・ティアニーの可愛いこと、〖ローラ殺人事件〗のローラ役の人です。お嬢さんの頃も殺人的に可愛いけれど、おばあちゃん役になっても可愛い。

なんとかヒロインを口説き落とそうとする本屋のシーンや、実家に帰ったヒロインを連れ帰るくだりは何度観ても楽しい。笑えるのだけど、ロマンチックでお洒落で観ていると癖になってしまう。
加賀田

加賀田の感想・評価

3.5
『桃色の店』に続き、スカート(『桃色の店』ではズボン)をめくって足を見せるというシーンがあった
知らずに鑑賞したけど、ルビッチ唯一のカラー作品はこんなダグラス・サークみたいなのかと中々に興味深かった。

ルビッチの作品は基本的にサイレント時代の方が好きではあるけど、トーキー以降も語り口や展開が小気味良いから全く嫌いではなく、この映画もタイトルに反して最初に地獄の入口から始まる意外性や主人公の恋愛模様、そして誕生日の演出や最後の結婚記念日のダンスの侘しさ等コメディなのに段々しんみりしていく感じが素晴らしく、さすがはワイルダーの師匠と改めて感心。

主人公の祖父を演じたチャールズ・コバーンはこの年度のアカデミー賞で助演男優賞を受賞したが、対象作のthe more, the merrierだけでなくこの作品の働きもおそらくあってのことだろう。

ところでドン・アメチー、年取ったときの姿が晩年のコクーンのときとほとんど違ってなくて少しおかしかった。
観たぞ!ここでまたひとつS県在住の年上の友人からの冷やかしの種をつぶすことが出来た! エルンスト・ルビッチ「天国は待ってくれる」

系譜を改めて見渡せばルビッチがその死の数年前の本作がいささかの冷笑さも漲ってない事にまずは驚きました。
三隅研二がその死の数年前に「桜の代紋」を撮ったという事実に匹敵する驚きです。

本来私は映画を観る上では「物語」にはあまり頓着しないタチなんですがドン・アメチー(ご存知にかたはご存知でしょうが「コクーン」のオスカー助演男優名優さんです)の産まれてからその死までの濃密な女性遍歴を、さらに天国か地獄かの決定がなされるあの世の裁判所まで加えた上で、2時間に満たぬこの上映時間で収めている構成の妙に舌を巻きます。

一度観るごとに気づくシーンが多そうです。
これから私も主人公と同じく「天国」に行くまで幾度も観直す映画でしょう。
が、まず初見の今回はラスト近く入れ替わった看護師がジーン・ティアニーだった時久しぶりに「ああ!」と映画を観ながら年甲斐もなく生声を発してしまった事実を告白しておきます。

なぜヒロインがこうもあっさり姿を消す映画だったのか?
その意味をあのワンシーンで氷溶させる言葉通りの「神業」です。

ジーン・ティアニーは病床のドン・アメチーの看護のために部屋に入ります。が、私たちには当然、中での彼の驚く様子を見せるような野暮な真似をルビッチはしません。
フリッツラング「飾り窓の女」でラスト、ホテルのフロントマンやボーイさんに出逢えたエドワード・G・ロビンソンやヴィクター・フレミング「オズの魔法使」でベッドの上で改めて仲間に見渡すジュディ・ガーランドと同じ気持ちだったに違いありません。
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