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山羊座のもとにのadeamのレビュー・感想・評価

山羊座のもとに(1949年製作の映画)
1.0
ヒッチコックがイングリッド・バーグマンと三度目にして最後のタッグを組んだ歴史もののメロドラマ。
イギリスの流刑地であった19世紀のオーストラリアを舞台に、身分の違いがキーとなる男女の愛憎劇が繰り広げられる物語です。
前作「ロープ」で味を占めたワンカットの長回しを多用しているのですが、それがモンタージュという映像独自のおもしろさを削いでいるだけでなく、コスチュームプレイに加えて大げさな台詞回しとコテコテのストーリーも相まって演劇の録画のような印象になっています。
さらにその長回しはバーグマンを疲弊させて撮影中に衝突を生んだと伝えられ、そこにバーグマンの不倫スキャンダルも重なるなど踏んだり蹴ったりで、ヒッチコック自身が失敗作と認めているのはそんな内外の要素が両方マイナスに働いてしまったためという気がしました。
いっそ嫉妬に狂って策略をめぐらすメイドを中心に物語った方が、サスペンス要素を増やしながらメロドラマらしいドロドロを楽しめたと思います。
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