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縞模様のパジャマの少年のCOZY922のネタバレレビュー・内容・結末

縞模様のパジャマの少年(2008年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ドイツ軍の高級将校の息子と強制収容所に収容されているユダヤ人の子供が有刺鉄線をはさんで友情を育んでいくが、その結末は、、という話。8歳の子供の目線、しかもユダヤ人側ではなくドイツ人の目線からホロコーストを取り上げた点がとても斬新。ホロコーストという既知の事実を違う角度から見せることで、これがいかに愚かで悲劇的な出来事であったかを否が応でも再認識させられます。

子供にしてみれば、同世代の友だちが欲しかった、ただそれだけ。民族・宗教・政治などが絡まない、人と人との交流の原点がそこにはありました。2人の触れ合いは原点にかえって人と向き合えば戦争のような愚かな行為はもっと少なくなるはずだと感じさせるものでした。

ただ、一方で違和感を覚えた点もあります。過ちを繰り返さないためにこの映画を投じた意味は大きいと思うけれど、かなりフィクションが混ぜられていて、それをどう捉えるかによって評価は分かれると思います。

あのラスト、主人公がドイツ人の子供で、そのうえ収容所の所長の息子だったら衝撃度のマグニチュードは最大級になるのは間違いなく、結末のインパクトを最大化しようという意図が強く働いた設定だと感じたのは事実です。また、アウシュビッツのような収容所があんなにやすやすと出入りできたり、中の子供が強い統制と監視の目を逃れて外部の人間と簡単に接触できるはずはないので、そこもちょっと乱暴かなと思いました。

物語はフィクションですが、ナチス、ホロコーストといった史実を土台にしたフィクションの場合は、フィクションであったとしても慎重な設定をするべきではないかと思います。

いろいろ書きましたが、戦争の悲惨さと残虐な行為、その愚かさを強く訴える力のある映画であることは間違いありません。
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