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駅 STATIONのSTのレビュー・感想・評価

駅 STATION(1981年製作の映画)
4.0
こんなにも沁みる映画だとは。


男が作った男のための男のカタルシス映画。不器用で無骨で情に溢れた健さんを堪能できます。倍賞千恵子、いしだあゆみ、烏丸せつこがそれにつきあってくれています。

だって女なんですもん、という今なら陳腐な台詞も、その圧倒的な演技で説得力が半端ない。そうだよね、女だもんねと思わせられる。また、そう思わせるだけの健さんの魅力もだだ漏れ。

とくに、後半の倍賞千恵子がいい!凄い女優ですね。いまだに、寅さんのさくらのイメージに縛られてる側としては、この色っぽさは衝撃的でした。

八代亜紀の『船唄』が居酒屋のテレビで流れてくるシーンが3度あり、その度毎に倍賞千恵子演じる女性の心情が変化、健さんとの距離が変わっていくんだけど、そのうまいことうまいこと。リアルな男と女の駆け引きを『船唄』が流れている間、長回しで見せてくれる。そしてその仕草やセリフのひとつひとつに無駄がなく、また歌詞ともリンクして、まさに神がかってると言ってもいいシーンです。繰り返し見れるくらい、この『船唄』には酔えます。

全体として見ると話に雑なところもあるんですが、そんなものは凌駕するくらいの健さんと倍賞千恵子です。いしだあゆみは少しのシーンしかなかったけど、もっとみたかったな。列車でのシーンはクライマックス?てくらいの情感と美しさでした。俳優はほんと贅沢。

昭和の日本映画の魅力満載です。ある程度の年齢をむかえた特に男性には、たまらなく沁み入る映画だと思います。ぜひ。
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