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ル・アーヴルの靴みがきのyujishibasakiのレビュー・感想・評価

ル・アーヴルの靴みがき(2011年製作の映画)
4.7
優しい…。「花咲か爺さん」のような…。
最高な役どころで出演している「リトル・ボブ」ですが、コンサートのシーンで、まさかあのリトル・ボブ・ストーリーの!?となり、鳥肌が。パブ・ロックが好きでよかった。最高じゃん。
あと、本当にヨーロッパの街並みや事物を魅力的に撮るなあ、と改めて強く感じた。
建造物や車、衣裳、小物、全てにカウリスマキの透徹した美学が反映されていること、おそらく意図した以外の背景にある「現代的な」事物までもどこか「朽ちゆくヨーロッパ」が放つ甘く饐えた匂いが充満している。これは、ヨーロッパの街を訪れたことのある人なら分かる感覚なのではないかと思う。そういう風に事物を眺めるというのは、ある意味で芸術至上主義的姿勢であり、カウリスマキを評して一般に言われる「市井の美」を映す作家性とは相反するように見えるのだけれど、むしろそうした美意識の透徹こそが、本質的な博愛と人間謳歌を駆動しているということに、我々は強い感動を覚えるのでした。だって街の美しさと人間の美しさには、大差ないもの。
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