ル・アーヴルの靴みがきの作品情報・感想・評価

「ル・アーヴルの靴みがき」に投稿された感想・評価

マーチ

マーチの感想・評価

3.7
最近、『希望のかなた』で初めて触れたアキ・カウリスマキ監督の世界観にハマっています。
無表情の中にある優しさや温かさが癖になりますね👍


【省略レビュー】
誰かが手を差し伸べることで、確実に何かが変わる。問題は、その誰かが現れるかどうか。


【p.s.】
忙しくてレビューをしっかり書く機会が無いので短めに今年観た作品のレビューを投稿しています。
暇があれば正式なレビューと入れ替えますが、きっとそんな瞬間は訪れないでしょう。
だって、私ですからね。
まいん

まいんの感想・評価

3.7
アキカウリスマキ初鑑賞
ところどころシュールなのが面白い

密告者や病気、低所得者
扱い方によってはかなり重く捉えることもできるテーマ
そこはかとなく温もりを感じてしまうのは何故なのか

小津安二郎への敬愛心を理解するためにもどちらの作品も早く観たいところ
カウリスマキの映画はレニングラード・カウボーイズしか観たことがない。しかし余りの“変”さに、強烈な印象を受けたことを覚えている。
本作は一見ハートウォーミングなドラマで、レニングラード〜ほどの奇抜さはないが、どこから見てもカウリスマキらしい作品に仕上がっている。

というのもまともなカットも多くあれど、やっぱり絵がヘンなのだ。明らかにウソをついていたり、極端なアップであったり、まるで物語を分断するかのよう。
だがそれが却って物語にとって効果的だし、むしろ映画としての説得力を強めている。まさしく映画本来の力とは、カメラによって現実世界を分断し歪めることにあるからだ。本作の画面は、そんな原始的な楽しみに満ちている。
こうした画面に加えて、棒読み気味の芝居、美術における赤のポイント使いは、小津を彷彿とさせる。

物語に関しては特筆すべき点がない。それは絵に比べて物語が稚拙だというわけではなく、絵が物語を良い意味で超越してしまっているからだ。
基本的に映画は物語ありきであり、絵は物語から生まれる。だから大概の映画における絵は、物語の支配下に置かれている。
本作における絵も、物語にために撮られたことに相違ないが、その役割を十分に果たした上で新たなる地平を開いていることに着目したい。だが優れた映画というのはどれもこの地平に達しているのだ。
カウリスマキはすべからくして映画作家だ、と思う。
coro

coroの感想・評価

3.6
再視聴

フィルムノワールにでも出てきそうな、一見いかつく見える青い瞳をした靴磨き職人が主人公。
病を抱えた妻を気づかいながら、偶然助ける羽目になる、やけに礼儀正しい(笑)不法移民の少年をロンドンへと密行させるために奔走する姿を、哲学的とも神学的ともいえる台詞を交えながら淡々と描いている。
パウロ・コエーリョの夢を旅した少年が、歳を重ねて彼になったと言われも不思議じゃないほど人生を達観しているのに、どこか可愛く見える主人公が魅力的。

その澄んだ瞳と澄んだ心ですべてのことを平等に見つめる、彼の誠実で朴訥な人柄に触れていく内に、彼が周りの人たちからどんなに愛されているのかを知ることが出来る。
彼や彼を愛する隣人たちのとる行動を通して、見えてもいないのに勝手に善悪を決めつける、どこかズレてしまった社会の価値観を問う、おとぎ話のような物語。

言葉のいらない、互いを気づかうさり気ないやりとりや何気ない風景が醸し出す空気感が、カウリスマキらしくて心地いい。


入院中、来ると心がかき乱されるからと隠れて化粧をし、やがて訪れる夫を待つ妻も可愛い。
Yosuke14

Yosuke14の感想・評価

3.9
93分という短い作品ですがとてもほっこりさせられました(^^)
やはりどの国どの時代も妻を愛し大事にする男はカッコいい!!
マルセルは妻の愛を受けそれをイドリッサにも分け与えたのだと思います。
静かな映画ですが、途中眠たくなることなく、一気に見られました。
すごく好きな映画です。みんなが一生懸命で優しくなれます。
詳しいところは突っ込まないで、身を任せて見るのが良いです。
開始3秒で「カウリスマキだ!」ってなる。当然のように超良い。
やっぱり音楽が最高なのと、色づかいが絶妙で好き。他に観た作品と比べるとより非現実的というか、絵本のような画がたくさんあってとても良かった。どこを切り取ってもオシャレ。ストーリーもわかりやすいし、文句なしのハッピーエンドでうれしい。
marika

marikaの感想・評価

4.1
結局男の子が母親に会えたか否かは明示されてないしハッピーエンドとは言えない気がする 不自然な明るさは怖さを孕んでいるなー 私も寛容な気持ちで一人一人と接したい すごく好きな映画!
初カウリスマキ。

小津同様に演技指導、美術面が織りなす独特かつ緻密なリズムが作品全体に流れてはいるものの、テイクをあまり重ねないという相違点から生まれるのであろう素朴な滋味深さが気持ちよく、心地よく、素敵な味わい。そこに天性のユーモアセンスがさり気なく光る。音楽がこれまた「この野郎」ってくらい抜群。これがカウリスマキか。また大好きな監督が増えてしまった。

素材の質感を引き立てる青ベースの小道具たちに覆われた画面がいい
そこに扉の裏側・見舞の花だとかに乗っかって申し訳なそうに現れる赤がまたいい
暗いコンテナに陽光が差し込んだ時の移民たちの隠者的な佇まい、肌艶が最高だ

好きなシーンは多すぎて枚挙のしようもないんだけども、他の人があまり触れてなさそうなところなら、移民たちの作る謎のネギ料理の鍋を上から覗き込むシーンで流れる音楽のタイミングが地味ながら素晴らしかった。温かな気持ち。
【臭いものに蓋をする】


密航者の"保護"とは
どういう意味か?


それはおそらく、
"強制送還"という意味でしょう。


都合の悪い言葉は
別の言葉に置き換えられ、
真意を悟られにくくします。


その真意を汲み取れない人間は
騙され捨てられてしまい、
汲み取る側に利用されてしまう。


純粋な言葉は残念ながら、
この世には殆ど存在しないのかも。


【親愛なる隣人】


警視モネは
主人公マルセルを監視するのではなく、
見極めていました。


彼が尊敬に値する人間か?
手柄を捨てる価値があるのか?


不正の中に良心があるかを
見極めることは、
常に大事なことなのかもしれません。


蓋を開けた時
『私の目に狂いはなかった』と、
そう確信できる瞬間が人には必要です。


『臭い物に蓋をする』
よりは、
『正しい者に蓋をする』
ような人生を送りたいです。
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