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最後の人のaiのレビュー・感想・評価

最後の人(1924年製作の映画)
4.5
ホテルのドアマンにすぎない老人が「制服」をまとうことによって威厳を持ち、周囲の人々から尊敬を受けている。ある日、突然の降格により情況が一変する
歳(老い)には勝てず重い荷物に四苦八苦する場面を見られドアマンからトイレの世話係に降格させられた主人公。プライドと共に金モールの立派な制服から、白い作業着を着ることに失望落胆するところから物語は始まる。

人々は「制服」に象徴される威厳にいかに弱く、また「制服」を奪われた老人は人々から軽蔑の対象になる。そして自分自身も軽蔑する。それだけのストーリーだが、ヤニングスの威厳から失望までの名演技。そしてサイレントムービーということで各所に散りばめられている主人公の性格や生活を意味するシーンの数々。こちらもヤニングス『最後の命令』に続くサイレントムービーの秀作。

ベルを鳴らさなくとも主人公が家に入る寸前に開かれるドア。常に同じ時間に帰宅するこの老人の毎日の変わらない生活や性格を表現し、開かれるドアというのも主人公の仕事とリンクしているようで何とも緻密。

賛否両論あるラストに関しては、バッドエンディングにあまりにも主人公が可哀想という理由で脚本家が書き換えたとか。アメリカのマーケットを意識したと云う説もあるが、個人的にはどちらも悪くはない。国によってはハッピー・エンディングをカットして上映したそうで、お国柄が影響されるのもオモシロイ。救いようのないラストと大逆転ハッピーエンド、どちらがお好みでしょう?
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