売れない役者の黒人がたまたま飛行機で隣同士になった男。そいつが整形して逃亡中のマフィアのボスと知ってしまい、追われる中白人に化けて逃走するサスペンスコメディ。主人公演じたレニー・ヘンリーはコメディアンとして有名で「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」に登場する縮み首の声も担当しているそう。

主人公の友人（演じるのは監督のチャールズ・レイン）が特殊メイクアーティストだったことから白人になりすます、いわば逆ミンストレル・ショーで少々大袈裟ながらボスも整形なら血を血で洗うようなもの。

白人になって待遇が全然違う！といったこの手の作品にありがちなメッセージ性はタクシーが拾いやすい以外そんなに無いのですが、部屋に居合わせた殺し屋をやっつけるとその後やって来たボスの手下に雇った殺し屋と勘違いされ結果「自分を殺さなくちゃいけなくなる」状態になってしまう＆役者故になんだかんだ白人なりすましも器用にこなしてしまうのが滑稽。

ボスの家で働きおそらく秘密も知ってるであろうアン・マリー・ジョンソン演じるヒロイン（ショートカットが良い！）にジェームス・ブラウンの弟を名乗り物真似を披露して接近するもスタンガン向けられブラウンよろしくなシャウトをする所や「殺した」のを証明する為友人に頼み、切断された手や足のダミーを作りソファーから首だけ出してバラバラ死体を演じる辺りも楽しく、これで多少解決と思いきやどうしても・・ということで向かった憧れのシェイクスピア「オセロ」のオーディションに受かり結果主役に抜擢と、最悪のタイミングでチャンスが訪れ再びピンチもやってくるややこしい展開も〇。

終盤の「オセロ」公演は欲を言えばセットを使ったアクロバティックなアクションが欲しかった所ですが、主人公を取り巻く状況と台詞がシンクロする展開や狙われていることを想定したうえでの演出＆観客席に飛び込んでの即興演技が巧妙で、思わず観客と共に圧倒されてしまいました。

ボスを捕まえられなかったことで格下げになった刑事の名誉挽回のサブストーリーも有れば、危険な目に遭ったことでリアルな演技力を身に付けることが出来たんじゃないかと思わせるオーディション時の演技等さり気無い箇所も充実しており、役者仲間とFBIのふりをしてマフィアを欺くといった設定を活かしたシーンも。

この前亡くなったジェームズ・アール・ジョーンズが本人役で、またこちらも亡くなったクインシー・ジョーンズの嫁だったペギー・リプトンもボスの嫁役で出演。知名度かなり低い作品ですが、再評価されて欲しい一作です。

• #ジャケ写登録ありがとうございました

　完全自己満足でお送りする不定期企画『レビュー0件映画を鑑賞してみた』
　これはFilmarks内で未だレビュー投稿のない作品をあえて鑑賞し、レビューを書いてみようじゃないかという、無謀かつ誰得な企画です。

　とりあえずのルールとして、Markされていても、レビュー欄が空欄だったり、あったとしても「記録」や「過去鑑賞」のような、レビューとは言い難い内容の書き込みもレビュー無しとみなします。

　さて、今回鑑賞した作品は……
　『トゥルー・アイデンティティー』　LDで鑑賞。
　1991年　アメリカ　サスペンス・コメディ　　　先客2名様

　しがない黒人俳優マイルズは、ひょんなことからマフィアの大物フランク・ルチーノの秘密を知ってしまい、命を狙われる羽目に。FBIに助けを求めるが、まともに相手をしてもらえない。そこで、友人に相談を持ち掛けたところ、彼からとんでもない方法を提案される。それは、黒人であるマイルズが、メイクで白人に変装するという作戦だった。
　うまいこと白人になりすましたマイルズだったが、偶然が重なり、ルチーノの部下にルチーノがマイルズを消すために雇った殺し屋と勘違いされてしまい、事態は思わぬ方向に傾いていく。

　黒人が白人に化けるという設定なので、もはやコメディ以外の何物でもないのだが、サスペンスとしても思いの外、十分に楽しめる内容となっている。
　ルチーノの秘密がばれるいきさつはチョイとおマヌケ。正直、自業自得。
　マイルズが一目惚れした女性に近づくために、ジェームス・ブラウンの弟を騙るシーンが笑える。モノマネがひどすぎ。

　ルチーノ役のフランク・ランジェラのほか、FBI捜査官にJ・T・ウォルシュ、さらにはジェームズ・アール・ジョーンズが本人役でゲスト出演など、キャストも豪華。

• #レビュー0件映画を鑑賞してみた