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愛と哀しみのボレロ・完全版のmidimidiのレビュー・感想・評価

4.7
子どもの頃観て、映画の中で何が起きているのか、多分あまりわからないままに、何か凄いものを見た!というエモーションが残っていた映画。大人になって再度観ることができて、全てが腑に落ち、再度感動した。
確かに長いが、長くていいのだ。
第二次世界大戦を挟んで、複数の家族の運命が交錯する。ダンサー、作曲家、音楽家など、主要登場人物は皆、芸術家だ。
グレン・ミラーのように実在の人物を明らかになぞっている登場人物もいる。
芸術家も戦争には、なすすべもなく巻き込まれる。失意、別離、死。
しかし芸術家は、自らの表現を通して、愛や美や平和の素晴らしさを世界に伝える。

ラストのチャリティーショウ。夜のエッフェル塔の下でのボレロ。ダンスと歌とオーケストラのコラボレーション。
ジョルジュ・ドンの比類ない踊り。
それを現地で、あるいはTVを通して見守るすべての人々。
これ以上のラストは無いと思える。

エンドロールで、赤十字のヘリコプターがエッフェル塔からパリを俯瞰しつつ飛び去ってゆく映像も美しく、真の主役はこの自由と芸術の都だったのか、という気もした。

ひとつ間違えばすぐにも戦争の時代に突入してしまいそうな今、この映画が語ることに強く共感する。
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