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南少林寺VS北少林寺のJAmmyWAngのレビュー・感想・評価

南少林寺VS北少林寺(1977年製作の映画)
3.9
カンフー界の「嵐」であり「SMAP」である事が世界中の法律で定められている、ショウ・ブラザーズの「五毒」メンバー共演による意欲的な良作だと思います。

為政者に仕組まれた南北少林拳の遣る瀬ない対立の中で、多面的にぶつかり合う技と技によって華麗に構築されたアクションが、あらゆる想いを巻き込みながらひたすら壮絶な血みどろの悲しみへと突き進んでいくという、チャン・チェ監督による陽剛路線全開の泣けるカンフーに仕上がっておりました。

また今作は修行モノとしても秀逸で、幾重にも負荷を強めていきながら形式を変える事なく入念に重ねられる鍛錬の繰り返しに、ドゥルーズ風の「反復とは差異を反復すること」といった差異と反復の結び付きの自覚的な実践が見て取れるワケで、詰まるところ「修行とは無限の差異である」というようなめくるめく広がりの潜在性を感受してしまう次第でございました。

蟷螂拳と炒り卵を最短距離で結び付ける電光石火のマッチ・カットや、詠春拳によって痛めた拳が織り成す「掻き込む・摘まむ」の箸使いなど、修行と食の必然的な連関性にも踏み込んでいるという多角的な試みがあるものの、映し出されるメシの数々が全く美味しそうに見えないところが私は大好きです。
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