相変わらず、嘘のない嘘ってこういう事だと思った。
デル・トロ監督の「アンチ・美女と野獣」の精神は、人物における「見た目の不変性」という文脈には留まっていないと思える。『美女と野獣』は呪いや魔法という>>続きを読む
伝統や儀式という踏襲すべきフォーマットを提示しつつ、その中においても過去性を乗り越えて未来を開いていくのだという、ある意味で類型的ですらある真っ当で理想的なイイ話が、ちゃんと真っ当で理想的でイイ話とし>>続きを読む
建前だったり誇張だったり歪曲だったりと、外面的な対人関係における言動はしっかりとエゲツない本心によって支えられていて、段々と余裕が無くなっていく追い詰められたコミュニケーションのドライブ感と、人物相関>>続きを読む
展開・演出の為に繰り広げられるインスタントなパッチワーク感を隠す素振りも無く、とにかく歌へと繋げて唐突に感情の動きを消化しようとする強引さには最早笑うしかなかった。現代的な要請としての「多様性」という>>続きを読む
物語や映画という定型・形式のポップな解体が、そのまま同時的に映画を再構築していくのだという理想的な軽さが超カッコよくて最高に可愛い。フランツ(カフカ)だのアルチュール(ランボー)だの、僕の観たい文豪ス>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
もうね、バカなのかと。もしくはアホなのかと。こいつは一体何がしたいの?何を持って怖がらせたいの?こいつは今までどんな恐怖を信じて人生を歩んできたの?
ゴア・ヴァービンスキーによる禍々しさの漂白された呪>>続きを読む
監視カメラのノイジーで若干禍々しい画なんかはそれっぽいけど、でももうセリフも脚本も壊滅的に辛い。自爆殺戮これはもう唖然。江野くんなんてあんなに頑張って爆弾作ってたのに。
小林稔侍の逆ギレっぷりは積極的>>続きを読む
家(=日常生活)に帰らなければならない、でも帰りたくないという現実的ジレンマの中で、バカな仲間がいれば何歳になっても何歳までも戻ってキャッキャしたりじゃれあったりする事ができるワケで、god damn>>続きを読む
めちゃくちゃ元気が出る。逆に言えば元気しか出ない。
物語的な合理性によって捨象されてしまいそうな描写を丁寧に撮っているし、逆に物語的な合理性によって描写すべきようなプロセスを大胆に省略していて、その省>>続きを読む
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とにかく錦戸亮の演技が素晴らしく、過去に過ちを犯した他者を受け入れられずに遮断してしまうのも、逆に友達として乗り越えようと感情を露わにするのも、すべて「フツーで等身大」という尺度に回収されるリアリティ>>続きを読む
警察機構って権力装置なワケで、その構成員に対しては個人というよりも組織というフィルターが掛からざるを得ない状況はあって、そんな時はもうフラストレーションだとか報われない気持ちだとかの受け皿と化してしま>>続きを読む
設定頼りで物語的なディテールが希薄な気がするし、死ぬほど古臭い酔っ払い演出にはこっちが吐きそうになったりするワケで、僕にはこの嘘は愛せなかったけれども長澤まさみの表情はマジLOVE。
Time Outのレビューで"Wikipedia-page biopic"だと書かれていたけど、マジそれ。It's Against The Emotionだし、ビギー風に言えばホントにwho shot>>続きを読む
発達障害児を取り巻く大人達の口から、"he is defective"だとか"living vegetable"だとかの言葉がふと飛び出す瞬間にはギョッとしてしまうんだけど、一方では"normalit>>続きを読む
アクションの中で次々にちょっとした伏線を回収していく様がめっちゃ律儀で泣けるんですけど。もうこの作品自体がパディントンみたいなもんやないですか。いくらパディントンが可愛くて律儀で健気だとはいえ、マーマ>>続きを読む
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認識におけるボタンの掛け違い的な仕掛けが結局はサブストーリー的なメロドラマ性にしか機能していないだとか、機密情報を天才学者から引き出す為の手法が「相手を怒らせる」という驚きのチージー具合だとか、え?こ>>続きを読む
神と死神の主従的な関係性によって、死神は生物的な不可抗力としての人の「死」を見続けていると。それは義務というよりも、"It is a curse!"というセリフ字幕の通り、最早抗い得ない呪いなのである>>続きを読む
負債を示す請求書の束から「文字」という要素が抽出されて、"TABU"という文字の浮かぶ海へとイメージの連想が着水する。そして海中における真珠の円形イメージの中で、請求書が次々に破られていくという一連の>>続きを読む
物凄くカッコよく降臨しておいて、以降はおもしろおじさんっぷりを発揮しまくるエミール・ヤニングスのメフィストフェレスがとっても萌え萌えアダプテーション☆
原作と比較すれば、グレートヘン(マルガレーテ)>>続きを読む
没入感8億%。ショットの構成や役者の表情そのものによって没入感8億%(大事な事なので2回言いました)。
教会のシーンは余りに素晴らしくて、それぞれの後悔と絶望が同一画面上に独立して混在している強烈な>>続きを読む
ステイツマン関係の描写とか、ミンチにされてるのに血が出ないとか、記号性が先行している印象で痒いところに手が届かない感じは正直あるけど、まあフツーに楽しかったです。
作品自体とは関係ないけど、ハリーの>>続きを読む
都市壊滅などのディザストラスでスペクタクルな映像を楽しむものではなく、プロットの展開こそが往々にしてディザスターなのであるという事なんでしょうか。観た直後なのにほとんど内容を覚えていないんだけど、なん>>続きを読む
海外のレビューを読んでいたら、それが作品に対して好意的なものでも否定的なものでも、水中のシーンについてはその画やハンドリング自体がimpressiveだと言っているものがいくつかあったんだけど、拙者的>>続きを読む
だって、本当に観ている通りに没入しちゃうんだもん。目と画で通じ合う。MURNA・ウ…色々スゴい。
ロラン・バルト風に言えば、「わたしの語ろうとしている作品は、次のような貴重な逆説、《いかにもこの物語は中心をもっている。だが、その中心は不在である》という逆説を示してくれる。禁域であって、しかも同時に>>続きを読む
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他者のために富や成功の象徴を手放す決断が、そのままデウス・エクス・マキナを召喚して大団円!どれだけ部屋を行き来しても、画面の中には舞台袖なんて無いんですね分かります。
チャップリン曰く「人生はクローズ>>続きを読む
戦争という状況の中で、意思に反して強いられるナショナリズムと、意識的なノブレス・オブリージュ。また身分や性別は違っても、去り行くフランス人に対して、残されるドイツ人の悲哀が、等しく胸に迫ってくるのであ>>続きを読む
父親はスペイン内戦時における人民戦線側だったようで、保守派の祖父との対立や、カトリック教会に対する嫌悪といった現在の状況は、当時の出来事と限り無く地続きなワケで。また女性の存在もだいぶ大きなものになっ>>続きを読む
ロバート周りの関係性の希薄さは『フェイシズ』的だし、社会的に精神科医を必要とするサラのパーソナリティは『こわれゆく女』だし、超ついでに言えば車の横転滑走は『グロリア』でもあった。それらがそれぞれの形で>>続きを読む
ジーナ・ローランズの感情の動きがどれだけ顔の表情に現れているのか/隠されているのかで言うと、ラストシーンは100グロリア、子供と対峙している時は200グロリア、マフィアを煽る時は5億グローリア。イン・>>続きを読む
主人公が演者達に「人格を選んで舞台に立て」と言うんだけど、それはこの物語世界において、厄介な現実を誤魔化すように舞台という場に執着する、主人公自身に当て嵌まる明確な意思表明なワケで。ここで、本作におけ>>続きを読む
ジョークなどを駆使して展開される、いわゆるソーシャルで形式的なコミュニケーションが営まれる場において、暗黙に既定された枠組みを個人が外側に逸脱する、あるいは内側に迫っていく瞬間がある。要するにそれは「>>続きを読む
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もうね、アホかと。板野サーカスの高速戦闘とかは別にいいんだけど、結局往々にしてマジンガーZの重量感がトレードオフになっちゃってんの。スーパーロボットにとって、重量感=魂じゃあないんですか?今になってマ>>続きを読む
生きてると年を取ったり錯乱したり酩酊したりするけど、"I've seen a lot of drunks in my time, but I've never seen anybody as drun>>続きを読む
モノクロームの世界に映し出されるミスター・イエロー・ジャーナリズム・モデルの生涯は、光と影やら構図やら長回しやらがハマりまくっていて滅茶見入るし、ラストシーンのカットの連続性は決定的過ぎて頭が真っ白に>>続きを読む
この夫婦は、状況に対して行為を要請する人/される人という関係性があるなあと思って、これが彼らの世界へのアクセス方法なんだと、this is how he/she does itなんだと思ったワケなんで>>続きを読む