なんなんだこの映画は。衝動的な殺人と？その容疑の究明は？展開が思いも寄らなすぎるのと、回るターンテーブルから吹き出る札束。へんな映画だしまとまってもないけど、なんでこんなに感激しているのか。いわゆる80sなシンガーを目指すアイリーンキャラと昔はジャズマンだったのか貧乏で嘘つきで老いぼれのジョージシーガル。まとまったお金を手にした老いぼれはまずは洋服とステーキ、アイスクリームと女。冒頭からの行き当たりばったりがラストまで続いている。オチ的な最後ですらそこからまたはじまる予感を残す。良く出来てる映画にはとことん興味がないし、こんな作品どうしてくれるのかなにがこんなに興奮させるのか。こんな作品をみられて心底嬉しい。

このジョージシーガルはパッサー「生き残るヤツ」のシーガルか？って思ったりアルトマン「ジャックポット」で回るルーレットの悲哀なラストシーンなんかも思い出した。ジョージシーガルは最高だなあ。

乞食同然の老人ジョージ・シーガルと歌手を夢見るアイリーン・キャラ。反発しあっていた年の離れた男と女がなんとなく心を通わせていく、愛情というより社会的弱者同士がお互い寄り添うような終盤。全然違うけどイメージは歪すぎる『レオン』。なんにも解決されず放り出したようなレコードに隠されたラストのオチ。飼い犬を殺されて売人を刺し殺すブチ切れシーガル、しっとり歌い上げるキャラ。たいした映画ではないけど擁護したくなるくだりもあるにはある。低所得層アパートを舞台にしたハル・アシュビー『真夜中の青春』との二本立て希望。