イチロヲ

悪魔のしたたり/ブラッドサッキング・フリークスのイチロヲのレビュー・感想・評価

3.0
ニューヨークで劇場を運営する支配人が、拐ってきた女性を観客の目前で拷問にかけようとする。70年代のアングラ臭がプンプン漂ってくる、低予算スプラッター・ホラー。

その昔、「最高にグロい映画があるらしいぜ」という噂が立つと、大体このあたりの作品が海賊版ビデオに収録されていた記憶あり。インターネットで調べることができてしまう今の時代に、この奇妙な味わいを体験することはできないだろう。

残虐描写自体は、最近のスプラッター映画やビデオゲームのそれに比べると、何てことのないチープなものだが、70年代の当時の人間になりきって鑑賞すると、その妖しい世界観に入り込むことができる。

本作の魅力は「グラン・ギニョール(19世紀のパリで流行した悪趣味見世物)」を扱っているところにある。トリック在りきの見世物かと思いきや、実は本当にやってましたーという江戸川乱歩的な物語。耽美と陰惨が同居する、独特の雰囲気を満喫すべし。
イチロヲ

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