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田舎司祭の日記のtubure400のレビュー・感想・評価

田舎司祭の日記(1950年製作の映画)
3.2
古い小説を読んでいるような映画だった(1930年代の小説の映画化だということだが)。翻訳の問題なのか、背景知識の問題なのか、会話が、今ひとつ分からないというか、なんなら微妙にすれ違っているように思えて仕方ない。それでいて、常に主人公がアンニュイな様子なのが、カフカ的な趣がある。

今の時代、「宗教的な生き方」というのはあまり想像もつかないというか、異様なようなもののようにも思えるので、この映画の本質的な所が実感としてわかることはないのだろう、と思う。令嬢シャンタルの悪魔的な所も、せいぜい可愛い小悪魔的なものに思えるし、ひたすらアンニュイな司祭も、『シザーハンズ』とかの頃のジョニー・デップとか、イアン・カーティスみたいな可愛い顔に見えてきて、そんな司祭が、ひたすら、悲惨な生活を送っている意味合いがわからなくなってくる。けれども、司祭と、地主妻の会話、とかには何かしら大事なテーマがあるんだろうな、ということが、なんかすれ違っているようにしか思えない会話を通して、おぼろげに理解される。不思議な味わいがある映画だった。
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