Yoko

ファウンテン 永遠につづく愛のYokoのレビュー・感想・評価

2.2
脳に腫瘍を持つ”イジー”の夫”トミー”は腫瘍消滅の特効薬を研究している。
ある日、闘病中の彼女は中世スペインを舞台にした小説を書いていることを彼に告白する…。


「愛する人を救うためには?」をテーマにした作品、いうなれば「死」を扱う作品であるにもかかわらず、今作の展開には笑ってしまった。
シリアスな映画にこんな笑いが出てしまった時点でもうだめだ。
大きく「現実」・「小説世界(SFだからといってスペイン語を話さなくともいい理由にはならないぞ!)」・「未来(宇宙・涅槃ハゲ)」の3パートに分かれる今作。
この構成だけ見るととても壮大な物語のように思えるものの、話の構成上とても大事な「小説」が「宇宙」によってないがしろにされてしまっている。
マヤ文明くらいでとどめておけばよかったものの、下手に「宇宙」を扱ってしまったことでタガが外れたとりとめのない話に没落している。
この子供だましの「宇宙」のせいで、主人公やヒロインのキャラクターの中身がブレてしまい薄っぺらく感じてしまう。
このために感情移入もままならず、ただただ監督の自己満足を押し付けられて不快な感情を催す。
上映時間の面から見ても「宇宙」に時間を割くならば、「現実」や「小説世界」にもっと深みを出して物語にのめりこませてほしい。
スペインと言えど、今作のスペインは明らかに現実のそれとは異なる「異世界」感は出ているのだから、絶対に「宇宙」要素を盛り込む必要はなかっただろう。

『マザー』の予習がてらアロノフスキー作品を洗い出していこうと『レスラー』を観て素晴らしかったのだが、今作はあまりにもひどい。
『マザー』も賛否が激しく別れるそうなので、今作の迷作っぷりが肌に合わながった身としては不安な気持ちでいっぱいとなってしまった。
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