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仁義の墓場のべるーしのレビュー・感想・評価

仁義の墓場(1975年製作の映画)
5.0
追悼・渡哲也

敗戦直後の新宿にて渦巻く暴力の連鎖と極道社会に抗った石川力夫の半生を描いたストーリー。


破門だ?盃だ?オジキを殺って何が悪い。極道社会の掟などクソ食らえ!と言わんばかりに好き放題大暴れの異端児ヤクザ・石川力夫。元々彼の役には菅原文太が予定されていたそうですが、これは渡哲也に役を渡して正解ですな。もし菅原文太だったら凶暴化した広能にしか見えなかったと思う。

狂犬の如き暴虐ぶりはこの男の生涯を体現しているかのよう。女性を平気でレ◯プしては妻として形だけ愛するわ平気で自身のオジキを殺すわでとんでもない人物なんですよね。システム化された極道社会を敵にしたヤクザ。それ故に彼への憧れを抱く人も少なくはないそう。

それを生き甲斐として楽しんでヤクザを敵に回しているかの様な。例え刺されようとも死なない、まさに常人を越えた奇人。死に方も奇怪w 血とかねww でも仁義なき戦いとは大きく違う内容なのに同じくらいの重厚感を感じさせる深作節が効いていて凄い。

抑えられぬ衝動が己の身を滅ぼす事になると彼は知る由も無かった...のだろうか。知ってたろうな。自殺すらも楽しんでる様に見えたし。

で、三池崇史によるリメイク「新・仁義の墓場」と比べてどうかと言えば、やはり今作のが良い...が、リメイクもこのオリジナル版に引けを取らぬ熱量があったのですよね。両作は「暗黒街の顔役」と「スカーフェイス」みたいな関係があってそこも面白かった。

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