ピープー

愛する人のピープーのレビュー・感想・評価

愛する人(2009年製作の映画)
4.9
名作。『レオン』、『アパートの鍵貸します』に並ぶ、心のオールタイムベストのひとつです。

美しいキルトのように非常に緻密なシナリオ。繊細なのに強く響いてくる描写、3人の女性たちの人生が徐々に繋がっていく構成、意外な結末。アネット・ベニングとナオミ・ワッツの鬼気迫る演技が、憎しみの連鎖から解放され美しく切なく輝く女性性を見事に映し出している。

独特の省略の美学で余計な説明が一切ないのに、それぞれの歪んだ生き方から心の傷が伝わるし、それが癒されて変化していく様や、後で繋がっていく伏線回収も完璧としか言いようがない。

この作品といい『美しい人』といい、哀しくも美しい女性像を描かせたら、この監督の右に出る者はいないんじゃないかと思う。
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