「悪魔の毒々モンスター」のトロマ制作の「悪魔のいけにえ」の亜流ホラーですが、殺人鬼家族のキャラがアホなので本家と違った愉快さがあります。トロマ総帥ロイド・カウフマンの弟チャールズ・カウフマンが監督を務めています。
大学時代のルームメイトトリナ、アビー、ジャッキーの三人は年に一度の冒険旅行で旧交を温めていたが、今回ジャッキーの企画した森でのキャンプ中、突如二人組の男に襲撃され拉致される。森の中にある一軒のあばら家には旅行者を捕まえて嬲り殺すのを楽しみにしている老婆と息子二人の狂人一家が暮らしていた。拉致された三人は暴力と陵辱にさらされるが、何とか逃げ出し復讐を誓うというストーリーで、粗筋では少女三人となっていますが実際はアラサー女性三人です。
冒頭首チョンパありますが、前半は彼女たちの学生時代のバカやったエピソードや、大学卒業から大分時間たってプール付きの豪邸でセレブ暮らし送るトリナやヤク中のヒモと暮らすジャッキー、口うるさい母親の介護に疲れ切っているアビーとそれぞれ置かれている状況の違う三人が久しぶりに会って釣りしたり水浴びしたり脅かし合って絆を取り戻していく主人公3人のキャラ紹介かねたドラマ部分が長めでホラー感少ないので退屈に感じる人は多そうですね。青春コメディ・ドラマとしては割と楽しく見れまました。眼鏡っ娘アビーが可愛いのもポイント高いです。
狂人一家三人も絶対的な権力持った母親を常に首にコルセット巻いてて、長男アイクは片目濁っててガチャ歯、次男アドリーは背低くてサスペンダーでズボン引っ張り上げてるとなんか漫画的なキャラ造形になっています。立派な殺人鬼になるべく常に特訓してて、拉致したジャッキーを陵辱するときも態々衣装着替えさせたりして様々な役やらせてイメージ・プレイみたいな事してそれを母親も見て楽しんだりします。ただ、ごっこ遊びではなく加減ない暴力振るっていくんですね。ここら辺はユーモラスな感じと陰惨な感じが合わさった妙な空気漂っています。
主人公側の犠牲者が一人だけというのも珍しいですね。また、この兄弟が主人公達がロープ解いていても縛り直さずそのまま部屋出たり、逃げようとしてる主人公達捕まえても母親が呼んでたらほったらかしてそっちに駆けつけ逃げられたりするので全体通して緊張感はあんまり感じられなかったかな。
普段セレブな生活してるトリナはこの事態にキャーキャー悲鳴上げるだけかと思ったら捕まってからずっと強気な姿勢崩さない所はちょっと意外だったな。地味な感じだったアビーが後半のリベンジでは冷静にアグレッシブな強さ見せていく所も面白かったです。
後半は逃げ出した主人公達によるリベンジが始まりますが、このやり方が編針で喉突き刺して股間に斧叩きこんで布口に詰めて窒息させたり、パイプ洗浄液飲ませてテレビ頭に落として電動ナイフでメッタ切りしたりと狂人一家よりもはるかに残忍です。母親にプラスチックのオッパイ押し付けて窒息死させるときにアビーの口うるさい母親の姿を重ねて日ごろの介護のストレスをぶつけるシーンは、カタルシスと狂気を感じさせるシーンになっていたと思います。
首チョンパなどもありますがアッサリしたもので、グロ描写やエロ描写は普段のトロマと比べるとはるかに大人し目でしたね。チャールズ・カウフマンはトロマ製作陣の中では良識派なのかな?アニメシリーズの脚本を多く手掛けているそうで、前述のマンガっぽさを感じさせるキャラはそこら辺から来てるのかな?
ラストの「クイニー」は母親の話などで伏線張ってあったとはいえ、唐突で雑な回収に笑ってしまいました(笑)凄いジャンプ力だし(笑)
トロマにしては何時もの様なドギツイ下ネタなどもないのでトロマファンだけでなく一般ホラーファンも鑑賞できるつくりになってます。